文芸

■『美しき天然 嘉仁皇太子の修学旅行』 田中 聡著/バジリコ 1800円+税 嘉仁皇太子と言われてもどなたのことかピンと来ませんよね。遠い昔の方かしらんと思ったら、若き日の大正天皇のことでした。え、大正天皇って即位して15年で亡くなられたあの病弱な… …

■『美しき天然 嘉仁皇太子の修学旅行』 田中 聡著/バジリコ 1800円+税 嘉仁皇太子と言われてもどなたのことかピンと来ませんよね。遠い昔の方かしらんと思ったら、若き日の大正天皇のことでした。え、大正天皇って即位して15年で亡くなられたあの病弱な… …

■『すき・やき』 楊逸(ヤンイー)著/新潮社 1300円+税 日本人と結婚した姉を頼りに来日し、高級すき焼き店でアルバイトに精を出しながら学生生活を送る中国人の虹智。弥生人顔の店長にときめいたり韓国人留学生に好かれたりと、若い人の淡々とした日常を丁…

■『すき・やき』 楊逸(ヤンイー)著/新潮社 1300円+税 日本人と結婚した姉を頼りに来日し、高級すき焼き店でアルバイトに精を出しながら学生生活を送る中国人の虹智。弥生人顔の店長にときめいたり韓国人留学生に好かれたりと、若い人の淡々とした日常を丁…

■ 『温泉の神様の失敗』 舘浦海豹著/柏艪舎 1400円+税 まさしく主役は北海道の温泉!それも源泉掛け流しで混浴で、年季の入った昔ながらの温泉宿の。いろんな事情を抱えた登場人物(猫や悪魔や天使や人形も)が道内の温泉を巡りつつ、最後に一堂に会して大…

■ 『温泉の神様の失敗』 舘浦海豹著/柏艪舎 1400円+税 まさしく主役は北海道の温泉!それも源泉掛け流しで混浴で、年季の入った昔ながらの温泉宿の。いろんな事情を抱えた登場人物(猫や悪魔や天使や人形も)が道内の温泉を巡りつつ、最後に一堂に会して大…

■『猫の水につかるカエル』 川崎徹著/講談社 1600円+税 「じゃ、また明日」いつものようにわたしは、二匹に声をかけた。が、二匹が明日も生きていて、再び会える保証はなかった。「じゃ、また明日」と口にするたびに、わたしはそう思うのだった。 著者はC…

■『猫の水につかるカエル』 川崎徹著/講談社 1600円+税 「じゃ、また明日」いつものようにわたしは、二匹に声をかけた。が、二匹が明日も生きていて、再び会える保証はなかった。「じゃ、また明日」と口にするたびに、わたしはそう思うのだった。 著者はC…

■『蝶であった日』 中本百合枝著/書肆山田 2500円+税 初めて詩集を紹介します。人間を二つに分類する方法は色々あるけれど、詩が解るか解らないかっていう分け方もありますよね。それで言うならわたしは解らない方。ことばを字義通り捉えてしまう頭の固い…

■『蝶であった日』 中本百合枝著/書肆山田 2500円+税 初めて詩集を紹介します。人間を二つに分類する方法は色々あるけれど、詩が解るか解らないかっていう分け方もありますよね。それで言うならわたしは解らない方。ことばを字義通り捉えてしまう頭の固い…

■『どうして書くの? 穂村弘対談集』 穂村弘著/筑摩書房 1500円+税 歌人の穂村弘と、ことばに携わる人たちが「書くこと」について語り合った対談集。 一字一句完全主義でありたい穂村さんとことばのプロフェッショナル同士の対談は、どれも心地良い緊張感…

■『どうして書くの? 穂村弘対談集』 穂村弘著/筑摩書房 1500円+税 歌人の穂村弘と、ことばに携わる人たちが「書くこと」について語り合った対談集。 一字一句完全主義でありたい穂村さんとことばのプロフェッショナル同士の対談は、どれも心地良い緊張感…

■『読まず嫌い』 千野帽子著/角川書店 1700円+税 本を手に取り「はじめに」を読む。 〈私は筋金入りの読まず嫌いだった。宮澤賢治、太宰治、サリンジャー。詩歌なら石川啄木も中原中也も、もう全部がアレルゲンだった。ごめんなさい先生。残していいですか…

■『読まず嫌い』 千野帽子著/角川書店 1700円+税 本を手に取り「はじめに」を読む。 〈私は筋金入りの読まず嫌いだった。宮澤賢治、太宰治、サリンジャー。詩歌なら石川啄木も中原中也も、もう全部がアレルゲンだった。ごめんなさい先生。残していいですか…

■『通訳ダニエル・シュタイン 上』リュドミラ・ウリツカヤ著/新潮社 2000円+税 ポーランド系ユダヤ人である主人公ダニエル・シュタイン。母親がゲットーから脱出した直後に生を受けて、出自を偽りナチの通訳となってユダヤ人を助けます。その後カソリック…

■『通訳ダニエル・シュタイン 上』リュドミラ・ウリツカヤ著/新潮社 2000円+税 ポーランド系ユダヤ人である主人公ダニエル・シュタイン。母親がゲットーから脱出した直後に生を受けて、出自を偽りナチの通訳となってユダヤ人を助けます。その後カソリック…

■『おさがしの本は』 門井慶喜著/光文社 1600円+税 こんなタイトルの本に必ず引っかかってしまうのが本屋の性。この本が発売された7月のある日、きっと全国の文芸書担当者はじっくり中身を点検したことでしょう。 でも舞台は本屋ではなくて公共の図書館。…

■『おさがしの本は』 門井慶喜著/光文社 1600円+税 こんなタイトルの本に必ず引っかかってしまうのが本屋の性。この本が発売された7月のある日、きっと全国の文芸書担当者はじっくり中身を点検したことでしょう。 でも舞台は本屋ではなくて公共の図書館。…

■『女中譚』 中島京子著/朝日新聞社 1400円+税 出ました!久々の換骨奪胎小説。中島京子の小説の中で一ジャンルを形成する(といってもまだ3作目)のが、この換骨奪胎小説(または本歌取り小説とも)です。「FUTON」は田山花袋の「蒲団」を、「イトウの恋」…

■『女中譚』 中島京子著/朝日新聞社 1400円+税 出ました!久々の換骨奪胎小説。中島京子の小説の中で一ジャンルを形成する(といってもまだ3作目)のが、この換骨奪胎小説(または本歌取り小説とも)です。「FUTON」は田山花袋の「蒲団」を、「イトウの恋」…

■『左京区七夕通東入ル』 瀧羽麻子著/小学館 1600円+税 東が早稲田とすれば、西は京大ではないかと思う今日この頃。あ、これは小説家の出身大学のことなんです。早稲田は村上春樹氏はじめ大勢作家を輩出しているのですが、京大推理研出身以外でも最近の京…

■『左京区七夕通東入ル』 瀧羽麻子著/小学館 1600円+税 東が早稲田とすれば、西は京大ではないかと思う今日この頃。あ、これは小説家の出身大学のことなんです。早稲田は村上春樹氏はじめ大勢作家を輩出しているのですが、京大推理研出身以外でも最近の京…

■『ナンシー関リターンズ』 ナンシー関/世界文化社 1200円+税 テレビコラムニストで消しゴム版画家の、ナンシー関が亡くなってはや7年。もう本は出尽くしたかと思っていたら、未収録のものがまだあったんですねえ。 〈「見てつまらなかったからチャンネル…

■『ナンシー関リターンズ』 ナンシー関/世界文化社 1200円+税 テレビコラムニストで消しゴム版画家の、ナンシー関が亡くなってはや7年。もう本は出尽くしたかと思っていたら、未収録のものがまだあったんですねえ。 〈「見てつまらなかったからチャンネル…

■『かんぼつちゃんのきおく』中島さなえ/双葉社 1400円+税 紹介の一番初めにこれを書くっていうのはさなえちゃん的にはどうなんでしょうか。中島らもさんの娘さんですっていうことを。でも「私は私です」な〜んて言いそうに無い自然体なところがさなえちゃん…

■『かんぼつちゃんのきおく』中島さなえ/双葉社 1400円+税 紹介の一番初めにこれを書くっていうのはさなえちゃん的にはどうなんでしょうか。中島らもさんの娘さんですっていうことを。でも「私は私です」な〜んて言いそうに無い自然体なところがさなえちゃん…

■『迎春花 漢江に咲く花 上・下』高平典子/じゃあそれで堂 各1600円+税 韓流ファンのあなたなら、憧れのスターがお忍びで来日した時に、どこかで偶然出会ってお知り合いになれたなら…と想像したことはありませんか。そんな夢のようなお話が実現しちゃうのが…

■『迎春花 漢江に咲く花 上・下』高平典子/じゃあそれで堂 各1600円+税 韓流ファンのあなたなら、憧れのスターがお忍びで来日した時に、どこかで偶然出会ってお知り合いになれたなら…と想像したことはありませんか。そんな夢のようなお話が実現しちゃうのが…

■『f植物園の巣穴』梨木香歩 / 朝日新聞出版 1400円+税 お待ちかね、梨木香歩の長編新刊出ました。毎月のように新刊を出す作家の方もいるけれど、じっくり熟成させて考えに考えて執筆しているんだろなと思わせるのが、この梨木香歩さんです。 出版社の惹句…

■『f植物園の巣穴』梨木香歩 / 朝日新聞出版 1400円+税 お待ちかね、梨木香歩の長編新刊出ました。毎月のように新刊を出す作家の方もいるけれど、じっくり熟成させて考えに考えて執筆しているんだろなと思わせるのが、この梨木香歩さんです。 出版社の惹句…