kaibundo2009-09-11

■『読まず嫌い』    千野帽子著/角川書店 1700円+税
 本を手に取り「はじめに」を読む。
〈私は筋金入りの読まず嫌いだった。宮澤賢治太宰治サリンジャー。詩歌なら石川啄木中原中也も、もう全部がアレルゲンだった。ごめんなさい先生。残していいですか。〉
 このあとも、読まず嫌いはミステリ、SF小説、時代小説、歴史小説、純文学、私小説、名作文学、青春小説、恋愛小説と続く。わはは、まるで私やん。
 この本は、著者と読まず嫌いだった名作との和解の記録なのです。大人になっても変化無しの私とはもちろん違って、それ以後の著者の恐るべき読書量!いわゆる名作にとどまらず、古今東西の古典から新刊まであらゆるジャンルの本を取り上げて、自分との関わりから面白く解き明かしてくれる。プロフィールを見ても生年は不明だけれど、もしかして30代前半かもっていう位若そうな人なのに。
 著者は、日経ビジネスオンラインで「働く大人」の文学ガイド連載中。他にも雑誌や新聞に連載多数。本書は4作目の著書。ちなみに、読まず嫌いを止めたきっかけは、筒井康隆の本との出会いだったそうです。
(熊木)