週刊 奥の院 4.21
■ 福田里香 『ゴロツキはいつも食卓を襲う フード理論とステレオタイプフード50』 太田出版 1280円+税 挿画 オハナツメ 装幀 中村善郎yen
著者は福岡出身、武蔵野美大卒。お菓子が専門の料理研究家。本書では、物語に登場する食べ物の役割について考える。
食べ物をうまく登場させると、登場人物の性格や感情、置かれていた状況を、鑑賞者へ伝達するのにきわめて有効、スムーズに働くようだ。
著者が発見した「フード理論」三原則。
1 善人は、フードをおいしそうに食べる
大きな口を開けておいしそうに食べる人物、見る人は親近感を持ち、信頼を寄せる。その人物が腹の底を見せたから。調理した人物も悪人ではない。善人がおいしく腹に納めたから。
2 正体不明者は、フードを食べない
みんなが食事する場面で、何も食べない奴を怪しむ。その人物の腹の底が見えない。例外あり、食べる場合は常人には理解不能なモノ、ドラキュラの血やゾンビの人肉など。
3 悪人は、フードを粗末に扱う
食べても食べなくても、粗末に扱うと確実に善人には見えない。
読者に好きな作品をフード目線で再度鑑賞するようすすめる。さらに作品世界が広がる。
著者自身、その理論によって気づいたことがある。多くの物語で、よく似た表現が繰り返し使われている。「ステレオタイプフード」。その例が、書名の「ゴロツキ〜」。そして、ゴロツキが食卓を襲うシーンが物語の分岐点でもある。
他にも、
仲間は同じ釜の飯を食う 鼻持ちならない金持ちの子どもは食い意地がはっていて太っている マヌケはフードを喉に詰まらせあせる 賄賂は菓子折りの中 失恋のヤケ食いはいつも好物 スーパーでふたりが同じ食品に同時に手を伸ばすと恋が始まる バナナの皮ですべってころぶ 迷走劇は厨房を駆け抜ける ……
■ 全国新聞社ふるさとブックフェア(5)
◆ 静岡新聞社 http://www.at-s.com/book/
【出品書目】
南アルプス お花畑と氷河地形 1800円+税 傑作しぞーか弁 1000円+税
だもんで 静岡おでん 1000円+税 しずおか 大人もはまる社会見学 1200円+税
今夜、何食べたい!? 952円+税 旬のおいしい野菜レシピBOOK 1429円+税
パンパカパンツ パンツをさがせ 952円+税 パンパカパンツ いろいろパンツ 952円+税
今は昔 しずおか懐かしの鉄道 819円+税 写真でつづる静岡鉄駿遠線 2800円+税
駿府の大御所 徳川家康 1048円+税 浜岡原発の選択 1300円+税
『パンツ〜』は幼児絵本。
◆ 信濃毎日新聞社 https://info.shinmai.co.jp/book/
【出品書目】
中山道69次を歩く 1700円+税 北国街道を歩く 1700円+税
真田三代 活躍の舞台 1000円+税 信濃路の風林火山 1200円+税
花めぐり 信州の名所230 1500円+税 ぼくらは真田十勇士 1800円+税
観音さまだいすき 1700円+税 刹の柱 信濃の仏塔探訪 1600円+税
別所線歴史さんぽ 1400円+税 川中島合戦は二つあった 1400円+税
川中島の戦いと北信濃 1600円+税 風流としてのオフネ 2500円+税
信州子どもの20世紀 6000円+税 信州むらの50年 5340円+税
「オフネ」とは祭礼で曳かれる船を模した山車。山国でなぜ?
◇ 【児童書担当】田中 「朝日」4.20夕刊「カルチャー」欄に登場。「本屋の棚心」。
◇ 人文・社会の出版社「新評論」の新刊PR誌「新評論」に、拙文を載せてもらいました。いつものアホ話です。版元の信用失墜必至。
(平野)