週刊 奥の院 4.4
■ 木下直之 『股間若衆 男の裸は芸術か』 新潮社 1800円+税
書名だけ見れば「官能時代小説」?
著者は、兵庫県立近代美術館を経て東大文化資源学研究室教授。
『芸術新潮』掲載時にも紹介した。男性彫刻像の「股間」に注目。
始まりは、平成20年5月2日赤羽駅前。男性彫刻像《未来への讃歌》(川崎善昭)。
あるべきものがあるようでない。それは、本当に不思議な股間。……いったいどこから、こんな曖昧模糊とした股間表現が生まれてきたのか知りたい。……その持ち主が一糸まとわずなぜ駅前に立っているのか、通行人の多くはなぜ目に留めようとしないのかについても考えてみたかった。
当初のサブタイトルは「日本近代彫刻の男性裸体表現の研究」。
近代美術史を遡って「謎」に迫る。
露出か隠蔽か修整か? “古今”日本人美術家たちによる、男性裸体と股間の表現をめぐる葛藤と飽くなき挑戦!
“曖昧模っ糊り”の謎を縦横無尽に追求する本邦初、前代未聞の研究書。(「研究」に傍点)
第1章 股間若衆 曖昧模っ糊り 奇蹟の木の葉 「浦島太郎」の衣の下 見て見ぬふり とろける股間 他
第2章 股間漏洩集 こぼれ落ちた問題の数々
風俗壊乱 腰巻き事件 彫刻の去勢 接吻禁止
日本男児 健康は身のため国の為
文化国家とヌード はじめての日展 警視庁の懐へ飛び込む ある彫刻家の除名 他
焦土へ、駅前へ 彫刻の正しい場 駅前彫刻
女の写し方 裸体芸術写真撮影競技会 『女の写し方』三書三様 他
男の写し方 『薔薇族』創刊 他
付録 股間巡礼 小便小僧 股間もいろいろ 考える人たち 他
表紙の作品は、千鳥が淵公園《自由の群像》(菊池一雄)
私だって疑問だ。芸術表現なのになぜ「曖昧」なのか? 恥かしいものならなぜ公共空間に置いているのか? 私たちはじっくり見ていいのか? 女性裸像を凝視しているおっさんは変態なのか?
紹介しながら、なぜか嬉しい私。教授は、じっと見てよいという立場だから。
(平野) さあどうじゃ春一番の大嵐
“くとうてん”のゴロウちゃんが【海】のためにツイッターの情報を集めてくれています。わてらアナログとかデジタルとかの問題外の枠外・大外・所払いの奴らで、助かっています。
そのなかで、装幀の「間村俊一」をご存知ない方がいらしたのでPR。当ブログではよく紹介しています。兵庫県山崎町の出身。筑摩新書のデザイン、筑摩版「宮澤賢治全集」は彼です。人物評伝もので、その主人公の肖像写真が使われていたら、たぶん彼のです。文芸書も数多く手がけています。最近のは当ブログを検索してみてください。売れっ子です。廃人、否、俳人です。酒呑みでギャンブル好きで……。私、複数の痴人、否、知人を通じてお会いしました。