週刊 奥の院 12.4

 週刊 奥の院 12.4
◇ 荒蝦夷 祝! 梓会出版文化賞新聞学芸文化賞受賞 
 同賞は、優れた活動を行っている出版社(特に中小)に贈られる。
 出版文化賞 創元社
 特別賞 亜紀書房 化学同人

 新聞学芸賞は、主要新聞社・通信社の文化部長が選考にあたる。
 おめでとうございます。T葉さん、T沢さんはじめスタッフの皆さんの努力の賜物です。
 でもね、あんまり頑張らないでください。
 ほんまに、よかった。この賞は、東北の出版社全社・全員に贈られたものと思います。いいニュースです。
 H代表? ……励めよ〜。
 
■ 道又力 編 『天晴れ! 盛岡文士劇  役者になった作家たち』 荒蝦夷 2500円+税
 文士劇と言えば「文春文士劇」を思い出す。若い人はご存知ないでしょうが、著名作家たちが年に一度集まってお芝居公演、チャリティーとファンサービス。海外の芸術家からは羨ましがられ、日本の評論家からは「世界三大愚挙」と皮肉られた。1978年をもって終了。
 盛岡文士劇は49(昭和24)年、岩手日報社主催の歳末助け合いの一環としてスタート。座長は鈴木彦次郎(新感覚派の作家で文藝春秋創刊に関わった)。超満員の盛況、本格的な舞台装置に観客はどよめくが、出演者たちの台詞で馬脚を現わす。台本を取り出すわ、老眼鏡をかけるわで、大爆笑。師走の名物行事になった。62年に幕。
 95(平成7)年、新座長高橋克彦のもと復活。高橋は学生時代演劇部で劇作家志望だった。脚本を書き、稽古も率先する。
 NHKテレビで放映されたこともある。今も前売り券即日完売のイベント。
 本書は、過去出演した作家・関係者たちのエッセイと脚本。
高橋克彦……恥ずかしい芝居を見せるわけにはいかない。岩手の文化の高さを示したい。分かっているのに肝心の台詞が覚えられない。ゲストに過激な負担はかけられない。焦りが先立って、集中力が薄れる……。
「支えているのは、どんなつらいことでも、必ずやらなくてはならないし、いつかはきっと終わり、思い出になっていく、という信念だ」
 浅田次郎井沢元彦、内館好子、北方謙三ほか。
(平野)