「週刊 奥の院」より

 *雑記 「週刊 奥の院」より
 ブログの更新がない。楽しみにしていてくれる人がいるのかどうかは知らねども、何か書かなきゃ読まれまい。よって、平野手書き通信「奥の院」より転載。
■ 「週刊 奥の院」第28号 10.30発行
◇ 来年が脇目もふらずやって来る  
 他店より遅いスタートで多くのお客さまをお待たせしました。来年用の日記・手帳・家計簿・カレンダー、それに年賀状お手本、11月1日販売開始。2階では、当店自慢の「船のカレンダー」を販売。間もなく「商船三井」「日本郵船」も入荷します。
◇「ノクシカタカード」入荷 
 バングラデシュの女性の伝統手芸を活かした美しいカードです。額に飾るも良し、ギフトカードに使うもまた良し。1枚400円。 one village one earthより。
◇ 第5回海文堂の古本市 11月1日で終了。次回は年末年始に予定しています。
 開催中に1階「トンカ書店棚」の『稲垣足穂全集』(なんと4万円)が売れました。2階の古本市との相乗効果というものです。「トンカ」さん、続いて『森茉莉全集』(筑摩書房・全8巻・帯&月報付)を、これまた超格安・お勉強大好き良い子価格5万円で出品。相場は7万円代後半、高いところは95000円をつけています。「トンカ」儲ける気あるのか?
◇ 神戸の本 高橋昌明『平家の群像 物語から史実へ』岩波新書/740円+税
 著者は神戸大学名誉教授。平清盛ではなく、清盛の孫維盛(これもり)と清盛五男重衡(しげひら)を中心に、広く平家一門を紹介する。平家は一枚岩ではなかった。清盛の絶大な力でまとまっていた。死後、その矛盾が露呈するということ。
 維盛は「光源氏の再来」といわれた美男。都落ちの時、既に郎党は離反、屋島から戦線離脱し、熊野で自死。他、諸説あり。
 重衡は「牡丹の花の武将」。「常勝将軍」が生田森で捕らえられ、鎌倉に移送。南都焼き討ちの罪で奈良に引き渡される途中で処刑された。
 日本の歴史は「史実」と「物語」が混交していることがある。人物それぞれを丹念に追って「平家」の実像を描く。
◇ 人文社会 ヴィッキー・レオン『図説 古代仕事大全』原書房/3800円+税
 約2000年前、古代ローマ帝国時代の仕事の数々。帝国の人口6000万人といわれ、当然貧富の差があった。99%の人が日々の仕事に追われていた。しかし、無労働日があり、同業者組合があった。仕事が終われば酒を呑み、上役の悪口を言い、税金の不満を述べた。役人と軍がいまの大企業にあたる。中規模だと、船造り、レンガ工場、公共浴場など。小規模なのは、飲食店ほかサービス業。
 「帯」で紹介されているのは、わき毛処理師、競走馬ブリーダー、速記奴隷、夢治療師、仮面デザイナー、告げ口屋、葬式の泣き女など。
 「告げ口屋」? アテナイ郊外のアッティカはやせた土地でオリーヴとイチジクしか育たない。特にイチジクは貴重品で、輸出禁止。ギリシア語で「密輸を密告する者=シコファント」。他の事件でも捜査に加わった。報酬は多額。
 「速記奴隷」? ローマは征服した民族の文化・習慣を受け容れた。ギリシア文化はそのままローマで開花した。また、商業を円滑にするためラテン語ギリシア語を使い、法律も通貨も同じものを使った。ギリシア人は読み書き能力にすぐれ、「リブラリー」と呼ぶ秘書、編集者、司書、書写人とした。速記にひいでた集団がいて、元老院の声明や見解を手書き新聞にして広場に掲示した。市民は自分の「筆写奴隷」にそれを写させた。記事は多彩で、訃報、誕生広告、離婚広告に商取引欄に占星術にスキャンダルと、現代のマスメディアそのまま。紀元前50年から約500年続いたそう。
著者によれば、当時の人々が誇りをもって仕事をしていたこと、個人として名を残したいと願っていたことがわかる。古代人のありのままの姿を見せてくれる。
◇ 今週のずっと奥まで〜 毎週、平野が選ぶ「ナニ」シーン。
 柳美里『オン・エア』上・下 講談社/各1600円+税
 常に問題作を発表する著者、今回はテレビの世界。3人のアナウンサーの光と影。「週刊現代」連載。「手に取ったサラリーマンに読み飛ばされない頁にしたい」と読者を意識。編集長からも「最初はセックスシーン」と注文。確か連載当初は著者名を隠していた。柳さんも張り切って熱が入っていた。とてもここに文章を紹介できない。しかし、強烈な描写なのだが、そのシーンにそれぞれの先行きの不安が暗示されている。
◇ おことわり HシーンやH本を紹介すると、「スケベサイト」からすぐアクセスしてくるみたい。よって、当欄では自粛。Hシーンは店の「紙版」でお楽しみくだされたく。(平野)




 *雑記 「週刊 奥の院」より
 ブログの更新がない。楽しみにしていてくれる人がいるのかどうかは知らねども、何か書かなきゃ読まれまい。よって、平野手書き通信「奥の院」より転載。
■ 「週刊 奥の院」第28号 10.30発行
◇ 来年が脇目もふらずやって来る  
 他店より遅いスタートで多くのお客さまをお待たせしました。来年用の日記・手帳・家計簿・カレンダー、それに年賀状お手本、11月1日販売開始。2階では、当店自慢の「船のカレンダー」を販売。間もなく「商船三井」「日本郵船」も入荷します。
◇「ノクシカタカード」入荷 
 バングラデシュの女性の伝統手芸を活かした美しいカードです。額に飾るも良し、ギフトカードに使うもまた良し。1枚400円。 one village one earthより。
◇ 第5回海文堂の古本市 11月1日で終了。次回は年末年始に予定しています。
 開催中に1階「トンカ書店棚」の『稲垣足穂全集』(なんと4万円)が売れました。2階の古本市との相乗効果というものです。「トンカ」さん、続いて『森茉莉全集』(筑摩書房・全8巻・帯&月報付)を、これまた超格安・お勉強大好き良い子価格5万円で出品。相場は7万円代後半、高いところは95000円をつけています。「トンカ」儲ける気あるのか?
◇ 神戸の本 高橋昌明『平家の群像 物語から史実へ』岩波新書/740円+税
 著者は神戸大学名誉教授。平清盛ではなく、清盛の孫維盛(これもり)と清盛五男重衡(しげひら)を中心に、広く平家一門を紹介する。平家は一枚岩ではなかった。清盛の絶大な力でまとまっていた。死後、その矛盾が露呈するということ。
 維盛は「光源氏の再来」といわれた美男。都落ちの時、既に郎党は離反、屋島から戦線離脱し、熊野で自死。他、諸説あり。
 重衡は「牡丹の花の武将」。「常勝将軍」が生田森で捕らえられ、鎌倉に移送。南都焼き討ちの罪で奈良に引き渡される途中で処刑された。
 日本の歴史は「史実」と「物語」が混交していることがある。人物それぞれを丹念に追って「平家」の実像を描く。
◇ 人文社会 ヴィッキー・レオン『図説 古代仕事大全』原書房/3800円+税
 約2000年前、古代ローマ帝国時代の仕事の数々。帝国の人口6000万人といわれ、当然貧富の差があった。99%の人が日々の仕事に追われていた。しかし、無労働日があり、同業者組合があった。仕事が終われば酒を呑み、上役の悪口を言い、税金の不満を述べた。役人と軍がいまの大企業にあたる。中規模だと、船造り、レンガ工場、公共浴場など。小規模なのは、飲食店ほかサービス業。
 「帯」で紹介されているのは、わき毛処理師、競走馬ブリーダー、速記奴隷、夢治療師、仮面デザイナー、告げ口屋、葬式の泣き女など。
 「告げ口屋」? アテナイ郊外のアッティカはやせた土地でオリーヴとイチジクしか育たない。特にイチジクは貴重品で、輸出禁止。ギリシア語で「密輸を密告する者=シコファント」。他の事件でも捜査に加わった。報酬は多額。
 「速記奴隷」? ローマは征服した民族の文化・習慣を受け容れた。ギリシア文化はそのままローマで開花した。また、商業を円滑にするためラテン語ギリシア語を使い、法律も通貨も同じものを使った。ギリシア人は読み書き能力にすぐれ、「リブラリー」と呼ぶ秘書、編集者、司書、書写人とした。速記にひいでた集団がいて、元老院の声明や見解を手書き新聞にして広場に掲示した。市民は自分の「筆写奴隷」にそれを写させた。記事は多彩で、訃報、誕生広告、離婚広告に商取引欄に占星術にスキャンダルと、現代のマスメディアそのまま。紀元前50年から約500年続いたそう。
著者によれば、当時の人々が誇りをもって仕事をしていたこと、個人として名を残したいと願っていたことがわかる。古代人のありのままの姿を見せてくれる。
◇ 今週のずっと奥まで〜 毎週、平野が選ぶ「ナニ」シーン。
 柳美里『オン・エア』上・下 講談社/各1600円+税
 常に問題作を発表する著者、今回はテレビの世界。3人のアナウンサーの光と影。「週刊現代」連載。「手に取ったサラリーマンに読み飛ばされない頁にしたい」と読者を意識。編集長からも「最初はセックスシーン」と注文。確か連載当初は著者名を隠していた。柳さんも張り切って熱が入っていた。とてもここに文章を紹介できない。しかし、強烈な描写なのだが、そのシーンにそれぞれの先行きの不安が暗示されている。
◇ おことわり HシーンやH本を紹介すると、「スケベサイト」からすぐアクセスしてくるみたい。よって、当欄では自粛。Hシーンは店の「紙版」でお楽しみくだされたく。(平野)