人文・社会 『書肆ユリイカの本』

ユリイカ


 ■『書肆ユリイカの本』田中栞/青土社 2400円+税
 「書肆ユリイカ」、主に詩書を出版した。活動時期は1947年〜61(昭和22〜36)、編集者伊達得夫が創設。最初の出版は、原口統三遺稿集『二十歳のエチュード』。もといた出版社で売れた本だが、倒産。版権所有者に交渉に行った時、同席していた東大生・中村稔の部屋で目にして手に取った本が、ポーの『ユリイカ』。その数日前に焼き鳥屋で「ユリイカ」の名を示唆してくれたのは、稲垣足穂……、という話は、伊達の『詩人たちユリイカ抄』(平凡社ライブラリー)から。
 著者は、書物研究家で、製本教室講師、「古本屋の女房」でもある。本書では、本の内容や詩人についてより、本のつくりとか造本のスタイルやデザインなど、姿の美しさに重点を置く。
 ■『老舗の流儀 戦後六十年あの本の広告』とうこう・あい監修 南陀楼綾繁幻冬舎メディアコンサルティング 1429円+税
 「とうこう・あい」は出版広告を主体にした広告会社、元「東弘通信社」。著者はフリーライター・編集者。各地で人気の「一箱古本市」「ブックストリート」の発案者。
 テレビの紹介やネットで本を知り、それを探すという人が多いのでしょうが、新聞広告は重要な本との出会いの場。私も毎朝出版広告から見てしまう。全面広告は派手で目立つが、「サンヤツ」といわれる小さなスペースに編集者や広告マンの思いが込められている。熱い物語があるんである。
「一枠のコピーを書くために、徹夜を厭わない編集者がいる。出版社との信頼関係によって、約束を守り抜く広告マンがいる」
 皆さんにお願い。せっかく広告ご持参くださるなら、書名だけではなく、出版社もわかるように切って来てくださると本屋はとても助かります。
(平野)




 ■『書肆ユリイカの本』田中栞/青土社 2400円+税
 「書肆ユリイカ」、主に詩書を出版した。活動時期は1947年〜61(昭和22〜36)、編集者伊達得夫が創設。最初の出版は、原口統三遺稿集『二十歳のエチュード』。もといた出版社で売れた本だが、倒産。版権所有者に交渉に行った時、同席していた東大生・中村稔の部屋で目にして手に取った本が、ポーの『ユリイカ』。その数日前に焼き鳥屋で「ユリイカ」の名を示唆してくれたのは、稲垣足穂……、という話は、伊達の『詩人たちユリイカ抄』(平凡社ライブラリー)から。
 著者は、書物研究家で、製本教室講師、「古本屋の女房」でもある。本書では、本の内容や詩人についてより、本のつくりとか造本のスタイルやデザインなど、姿の美しさに重点を置く。
 ■『老舗の流儀 戦後六十年あの本の広告』とうこう・あい監修 南陀楼綾繁幻冬舎メディアコンサルティング 1429円+税
 「とうこう・あい」は出版広告を主体にした広告会社、元「東弘通信社」。著者はフリーライター・編集者。各地で人気の「一箱古本市」「ブックストリート」の発案者。
 テレビの紹介やネットで本を知り、それを探すという人が多いのでしょうが、新聞広告は重要な本との出会いの場。私も毎朝出版広告から見てしまう。全面広告は派手で目立つが、「サンヤツ」といわれる小さなスペースに編集者や広告マンの思いが込められている。熱い物語があるんである。
「一枠のコピーを書くために、徹夜を厭わない編集者がいる。出版社との信頼関係によって、約束を守り抜く広告マンがいる」
 皆さんにお願い。せっかく広告ご持参くださるなら、書名だけではなく、出版社もわかるように切って来てくださると本屋はとても助かります。
(平野)