週刊 奥の院 9.5
■ 『私の本棚』 新潮社 1300円+税
雑誌『yom yom』1〜23号に連載。
(帯)
本棚は宝物、
本棚は憧れ、
本棚は宇宙、
本棚はほんとに厄介――。
23人の読書家による、
本棚にまつわる
ちょっといい話。
1冊1冊の本ではなく、1冊1冊の本が並ぶ本棚・本箱のお話。
小野不由美は、蔵書1冊1冊の背幅を全て測った。総延長438400ミリ=438.4メートル。計画どおり、「天井までの本棚」ができあがったが……。
椎名誠は30年後の「アナログの古式本棚」の姿を想像する。
赤川次郎(じつは18歳のとき、3ヵ月本屋で働いた)の本棚は、「緑のイメージ」。文学の原点は世界文学全集の色。
赤瀬川原平は、小学生時代に家の隅にコーナーを与えられた。一枚板の棚があり、それが本棚の最初。上京して貧乏下宿。ミカン箱をもらってきて本箱にした。今は仕事部屋、書庫も。
……とはいえ本棚の本を減らす、つまり捨てるというのは難しいことで、実質本、予備本、義理本、その他いろいろ、行政改革をしようとしている自分の脳の中に、本棚のあちこちから陳情があり、決裁を下すのが非常に難しい。まあそれも、自分の脳が働き終えるまでの間である。
『子供より古書が大事と思いたい』鹿島茂は、自らを「愛書家」というより「愛憎書家」と呼ぶべきと。
……なぜなら、たしかに本を愛していることはいるのだが、本を憎んでもいるからである。……金がかかってしかたがないからである。
(古書を買うために大学勤めのかたわら翻訳。バブル期に実家を担保に銀行から借金。バブル崩壊で借金は数億円になった)
……かくして、そのときになって初めて、自分の筆で金を稼ぐことを思いついたのである。
僕にとって最高ともいえる幸せなひと時は、書斎で本棚にぎっしりと詰った本を眺めながら読書をする時だ。そこには僕の心を豊かにしてくれ、癒し、励まし、勇気を、そして沢山の知識と智恵を授けてくれた本が、それぞれ個性のある背表紙を光らせて並んでいる。
本の重さを思い知ったのは建売住宅の床が抜けたときである。八帖の仕事部屋のまわりに特注の本棚をめぐらし、その本棚からも溢れだした本を床のあちこちに積み上げているうちに、何十もの本の峰が勝手に聳え立ち、やがて連なって山脈になった。……
◇ うみふみ書店日記
9月4日 水曜
『海文堂書店の8月7日と8月17日』(夏葉社)の表紙が決定。21日に入荷します。
https://twitter.com/natsuhasha/status/375168815882960896/photo/1
今日は常連男性客とお話。
住吉のおじいちゃんが差し入れをくださる。いつもは和菓子だが、今日は阪急御影の洋菓子。ありがとうございます。
友人に出す葉書を見せてくれた方あり。【海】閉店ニュースの4・5日前に、【海】がゴルフショップに変わっているのを夢で見たそう。2階には本があると聞いて階段を上がるがぬかるみ……。
「笑って読んで」とおっしゃいましたが、当たっています。
「元町から丸善がなくなり、不二家がなくなり、明治屋がなくなり、ほんで海文堂かいな。次は○○やろな……」
(私)「そんなことおっしゃらずに」
「そんだけ神戸が衰退してるいうことや……」
「あんたはスポンサーみつけて本屋するんやろ?」という人あり。どこにもそんなスッポンはおらん!
44年雑誌購読せし人の感謝の言葉に礼をするのみ
広島からお見えの方。たくさん買ってくださったうえに、『海文堂書店の8月7日と8月17日』を予約くださる。
大雨で人は少ないのに、店頭の写真を撮って行かれる人多数。
雨の中、地元K新聞総合出版センターTさん、注文品直納。
仏教書営業マン、わざわざ挨拶に。「いっそこの際好きな本」フェアから私が推す本を買ってくださる。
皆さん、ありがとう。
「みずのわ」ブログでY社主。「海文堂書店の閉店とネット書店の台頭について」
http://d.hatena.ne.jp/mizunowa/
GFネタじゃ! 6日仙台から来てくれる!!!
(平野)