週刊 奥の院 8.3

■ 成田一徹 切り絵・文 『新・神戸の残り香』 神戸新聞総合出版センター 1700円+税 
 遺作。神戸新聞連載分に未発表作品を加える。
【海】も切っていただいた(P16、カバーの絵の中段左)。2階海事書棚からレジと階段を見る構図。赤い手摺りがお気に入りだった。
「神戸の残り香を求めて」(『雪』2010年3月号)より。
 当時、神戸と東京を1週間ごとに往復する生活。六甲の緑を見るたびに「ああ帰って来た」と安堵。

……
 十五年前、一瞬にして変わってしまった神戸の風景の中で、六甲の山並みだけは変わらない。大きく手を広げて、神戸の街を慈しむようなその大きな存在を背後に感じつつ、市街地に下りていく。根っからの神戸の人間だなあ、と思う瞬間である。
 あの震災で神戸の街は大きく変わった。陰影の乏しい、ずいぶん薄っぺらな街になってしまった。しかし、根こそぎ変わってしまったわけではない。探せば良き時代の神戸の面影、残り香を漂わす風景が、まだまだ残っているはずだ。変わらないものを描くことによって今の神戸が見えてこないか。そんな想いを胸に、震災後八年目の二〇〇三年から二年余り、神戸新聞に連載したのが、切り絵とエッセイのコラム「神戸の残り香」である。
(神戸はさらに変わり、連載で取り上げたいくつかのシーンも失われた)
……残り香はフッとかき消えて、無臭の渇いた街の風景が広がっていく。……


 この本にはサインをしてもらえない。
(平野)
   



















■ 成田さんポストカード 10種類 各158円(税込)






■ 原画を高精度・高精細にスキャンした「公認複製画」(夫人の証明書付き)
シャンパングラス」 「マンハッタン(大)」 各19000円(税込)
「グッドバークラブ&バーアンカー(2枚組)」 18000円(税込)
「フェニックス号」 「マンハッタン(小)」 各16000円(税込)