月曜朝礼新刊紹介

【文芸】 クマキ 
■ 山口恵以子 『月下上海』 文藝春秋 1300円+税
 1958年東京生まれ。高校生の頃から漫画家志望、挫折。大学卒業後、シナリオ研究所で学び、ドラマのプロットを多数作成したが、脚本家にはなれず。求人広告でみつけた食堂の仕事をしながら小説執筆。2007年『邪剣始末』でデビュー。
 本書は、第20回松本清張賞受賞作。
 カバーのあらすじより。

 スキャンダルを逆手にとり人気画家にのしあがった財閥令嬢・八島多江子は、戦時統制下の日本を離れ、上海に渡った。
謀略渦巻く魔都・上海で、多江子が出会う四人の男たち。
憲兵大尉・槙庸平、民族資本家・夏方震、医学生ながら抗日運動に身を投じる黄士海、そして多江子の前夫・奥宮瑠偉。
いま、運命の歯車が回り始める。

(担当)新聞などで、「食堂のおばちゃん」が受賞と話題になっているが、
「おばちゃん」とは失礼だ!!


■ 高村透 『くじらの潮をたたえる日』 早川書房 1500円+税 
 1983年神戸市生まれ、神戸大学大学院出身。2010年から『理想の彼女のつくりかた』シリーズ。ライトノベルの書き手だが、本書は“お仕事小説”。
 主人公は定年間近、レストラン経営会社で食中毒の責任をなすりつけられて左遷。家では娘と不和。
「人生でいいことはもうないのだろうか。いや、わたしは行動にでる」
 同じく左遷された仲間二人と、営業再開に向けて立ち上がる。


【芸能】 アカヘル
 紹介するのは、『文藝別冊 向田邦子
 先に私が紹介してしまった。
 彼が向田直木賞受賞時のエピソードを。
 第83回(1980年上期)。「花の名前」「かわうそ」「犬小屋」の3編(『小説新潮』連載中の連作、のちに単行本『思い出トランプ』)。
 山口瞳が懸命に推した。
「もう、51歳なんですよ。そんなには長く生きられないんですよ」


(平野)