2F水曜朝礼 & 週刊 奥の院
◆ 海事コーナーより
■ 山下久猛 『船で働く人たち』 ぺりかん社 1900円+税
中学生のための職業紹介「しごと場見学」シリーズ。
1.船ってどんな場所だろう? 2.クルーズ船ではどんな人が働いているの? 3.貨物船ではどんな人が働いているの? 4.特殊船ではどんな人が働いているの? 5.船にはほかにどんなものがあるの?
いろいろな船の内部を紹介し、そこで働く人たちにインタビューする。
◇ 港町グッズの新製品
■ 善九郎工房 『ZENKURO SKETCH BOAT−1』 8枚組 1680円(税込)
『同 2』 16枚組 2940円(税込)
◆ 週刊 奥の院 2・28
■ 須藤文音(すとうあやね)文 下河原幸恵(しもかわらゆきえ)絵
『地震のはなしを聞きに行く 父はなぜ死んだのか』 偕成社 1400円+税
須藤は気仙沼生まれ。仙台暮らし、福祉施設に勤める。2011年、「白い花弁」で第2回みちのく怪談コンテスト大賞。下河原は岩手県矢巾町生まれ、漫画家アシスタント。
須藤は大震災でお父さんを亡くした。遺体が見つかったのは2週間以上あと。棺のふたは閉じられ、遺族は顔しか見ることができなかった。
人はいつか死んでしまいます。親は、子どもより先にこの世から去ってしまうということは理解していました。とはいえ、それはまだまだ先の話で、まさかこんなにとつぜんの別れがおとずれるなんて、思ってもいませんでした。……
気仙沼のゆたかな自然のなかでそだち、自然は時に、人間の命や生活を一瞬でうばっていくことは知っていました。もしかしたら、自分の身近な人が犠牲になるかもしれないと考えたこともあります。それでも、私は実際に家族を亡くすまで、自然のおそろしさをなにもわかっていなかったのです。
(父の死、震災から目をそむけることは父が生きていたことまで否定するような気がした)
私は、父の死とむきあおうと思いました。そのためには、父の命をうばった東日本大震災(東北地方太平洋沖地震)について、知る必要があります。地震と津波のことを知ることで、少しでも父の死の理由に近づきたいと思いました。どうして、父は死ぬことになってしまったのか。それがわかった時、私は少しだけ父の死を受けいれられるような、そんな気がしたのです。
目次
日本でおきたおもな地震
第1章 どうして地震がおきるの? 松澤暢(とおる)先生に会いに行く 東北大学大学院地震・噴火予知研究観測センター教授。
第2章 地震の歴史を知りたい 寒川旭(さんかわあきら)先生に会いに行く 産業技術総合研究所、地震考古学・地震地質学研究。
第3章 どうやってそなえる? 河田惠昭(よしあき)先生に会いに行く 社会安全研究センター・人と防災未来センター所長
地震のあしあとをたずねる
野島断層保存館(淡路市) 岩手・宮城内陸地震跡(栗原市) 津波体験館(気仙沼市) 阪神・淡路大震災記念 人と防災未来センター(神戸市) 地すべり資料館(西宮市) 稲むらの火の館(和歌山県有田郡広川町)
被災各地を訪れ、全国の災害資料館を訪ねている。
「災害の傷あとがのこる場所は、犠牲者に手をあわせる祈りの場所となってもいます」
須藤は今も父のことを考える。死の原因は知った。でも、「いつ、どこで、どうやって死んだのか」は不明。多くの犠牲者が同じでしょう。
「一生かかってもわからないことを、私は考えつづけていくのでしょう」
大きな災害はこれからも起こる。自分にできることは何かと考える。
地震についての知識、土地の災害の歴史、暮らしに防災を根づかせる……、
「自然はおそろしいものなのだということを、私たちの言葉と文章と、傷ついた祈りの場所をもって、未来に伝えていく」
読者にも、
「すこしの知識とすこしの意識で、すこしでも被害をへらせるよう、大切な人をうしなうことのないように、この震災を考えてほしい」
(平野)