週刊 奥の院 12.26

■ 『SIGHT』 54号(2013 WINTER) ロッキング・オン 743円+税 
特集 大丈夫か、日本。 暗黒の4年が始まる?
 
 衆議院選挙の結果を受けて。
 取材は投票前に行われている。政局を主体に考えれば無謀だが、編集部は今回の選挙の本質的問題は政局ではないと考えた。

……今回の選挙における本質的な問題とはなんなのか。それは我々日本人が民主主義とどう向き合うかということだ。

 投票すべき党や候補者がいないと嘆いていた有権者たちが、いつにも増して考え語った選挙で、もっともましな選択を探した、と考える。

……多くの有権者は途方に暮れつつも、なにが本当の選択か悩んだ。そして、選挙結果が出た今はもっと悩んでいるはずだ。日本における民主主義がまっとうに機能するためにはどうすればいいのか、次の選挙までなにをすればいいのか、みんな悩んでいる。どうも民主主義というのは面倒なようだ。放っておいてどうにかなるものではない、ということを知ってしまった以上、これまでのおまかせ民主主義と、何年かに一回やってくる懲罰選挙の権利を行使しているだけではダメだと自覚したのだ。……
 この選挙の結果の下、また日本は新しい政治状況の中でいろいろな課題にぶつかっていくことになる。あまり楽観的な展望は見えてこないが、ひとつひとつの問題に向き合っていく中で筋力はついていくはずだ。……

 タイトルの「暗黒の4年」は「暗黒」にしたくないという思いを込めている。

田中秀征  早急に、総選挙という事態になるんじゃないかと思っている
東浩紀  保守とかリベラルっていう対立の構図ではない、新しい言葉を作らなきゃいけない
藤原帰一  日本の二大政党とは政府党と在野党である
湯浅誠  市民活動家が政府参与に就任した3年の任期中、与党側の視点から、官僚そして市民活動のあり方をどう見ていたのか
孫崎享  竹島尖閣、米軍配備……諸外国に翻弄され続ける日本外交は、新政権の下で、次なる姿勢を世界に示すことができるのか
保坂展人×小熊英二  今回の国政選挙まで、とにかく懲罰選挙が続いている。有権者は現実として議員に期待していない
内田樹×高橋源一郎  3.11と今回の選挙が、日本の戦後民主主義の底だ

……
(内田) これまでなら保守と革新が対抗軸だったんだけども。今の政党は全部「変化!」だからさ。自民党が一番過激に体制の変換を求めているんだよ。
(高橋) 戦後体制を変えろってね。
(内田) 「変えろ」っていうスローガンにさ、もう有権者は飽きつつあると思うよ。反ナントカとか、ナントカ改革とか、ナントカ交代っていう言葉に。根底から変えて、全取っ替えしましょうという話じゃなくて、成熟するとか、新たな言語を獲得するとか、時間のかかる作業をひとりひとりが丁寧に仕上げてゆく以外にこの国を住みよいものにする手立てがないということが、これからだんだんわかってくるんじゃないかな。

(平野)