週刊 奥の院 10.5

今週のもっと奥まで〜
■ サタミシュウ 『彼女はいいなり』 角川文庫 476円+税  

 高校生鷺坂美樹くん、彼女の浮気現場を目撃して大ショック。彼を慰めてくれるのは美術の志保先生、「しほしほ」。童顔で小柄な先生、実は……。青春SM小説シリーズ。

……
「先生……」  
 唇を離すと美樹は言った。そこには、このまま自分も先生とセックスがしたいという意味を込めていた。
「したいの?」
「はい」
 美樹は子供のように頷いた。
「鷺坂くん」
 志保先生はその体勢のまま言った。
「してあげるけど、先生の言うことが聞ける?」
「はい、なんでも聞きます」
「じゃあまずひとつ。今日はもう遅いから帰りなさい。……今日はここまでだけど、明日、朝から一日中……。まだあるわ。言うことを聞いて。いつとか、どんな風にとか、全部先生が決める。鷺坂くんはそれにちゃんと従える?」
「はい」
「後から、絶対に口答えしないこと。これは絶対よ」
「わかりました。先生の命令は何でも聞きます」
 美樹はとくに深い意味もなく言った。すると先生は少しだけ目を大きく開いた。
「命令……。そうね。先生の命令は絶対。それでいい?」
「はい」
 志保先生のトーンが少し変わったが、美樹はひたすら頷いた。
……
「いらっしゃい」
 昨夜とは違って、学校で見るような笑顔で先生は迎えてくれた。
「いろんなこと想像してたでしょ」
 少し微笑んだまま志保先生が言った。
「はい……でも……」
「でも、なに?」
「昨夜のこともなんだか夢だったんじゃないかって気がして、そしたら、先生との今日のこと、だんだんどうしたらいいのかわからなくなっちゃって……なんか変な気分でした」
 美樹は正直に言ってみた。先生と抱き合って折り重なるところまでは妄想してみるが、どうもぼやけてしまい、これまで見てきたアダルトビデオも何の役にも立たなかった。……

                
 いつもどおり、カバーがアッハン、さらに、帯が特別仕立て。
(平野)
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