月曜朝礼 新刊紹介
【文芸】 クマキ
■ きたやまおさむ よしもとばなな
『幻滅と別れ話だけで終わらないライフストーリーの紡ぎ方』 朝日出版社 1500円+税
きたやまは1946年生まれ、精神分析学者。2010年まで九州大学教授。「南青山心理相談室」開設。学生時代に「ザ・フォーク・クルセーダス」として音楽活動、解散後作詞家。
きたやまの「講義」は【きたやまおさむアカデミックシアターDVD全3巻】をもとに加筆・再構成したもの。ふたりの対話は2011年に3回に分けて行なった。
1 母と子の二重性を読む
講義 自分のこころはモニタリングできない 精神分析とは「こころの台本」を読むこと
浮世絵の母子像から、こころを読み解く 母と子がともに見ること、思うこと 他
対話 日本人特有の「表と裏」 「こころの台本」を読むのは時間がかかる 精神科医もたまってたいへん 落差を楽しみ、多面性を保つための楽屋 他
2 ストーリーの表と裏を織り込んで
講義 こころの物語を分析する 罪悪感はどうして生まれるのか 『古事記』の中の「見るなの禁止」 きれいはみにくい、みにくいはきれい 他
対話 雑草のように生きることが難しい 文化と幻想のはざまを生きる 「表と裏」で二面性を解消する 日本人は文化にリスクを負わない 他
3 人生は多面的
講義 3・11が変えたもの あれこれ信じて、どれも信じない 「裏切る」こころは、生き延びる力 「ぼちぼち」がんばること 他
対話 両眼視と二重視の世界 ポップとアートの違い フリーダ・カーロはマグダラのマリア 後ろを振り返れないとつらい 他
ばななから見たきたやま。
きたやま先生が歩いているだけで、そこだけ世界がうまくまわっているような、光があたっているような感じがする。自分ももしかしたら大丈夫なのではないかと思えてくる。
きたやま先生の生きてきた道のりがどんなにすごいものだったのか、どんなにたくさん勉強して、どんなにプレッシャーに耐えてここまで歩んできたのか、どれだけのものを見聞きしてきたのか……この本の中でも少しだけ語られているかもしれないが、たぶんそんなものではない。人類のほとんどが行っていない、誰にもわからないところめでいつのまにか行ってしまったというくらいに、たいへんだったのだと察する。……
ばななは、若き日「いきなり地獄を見た」ことを告白する。本書を読んでください。
ばななのまとめ。
「日本人のあり方をとらえなおすことで、これからの困難な時代をなんとか生きていく術を、いちばんいい加減の考え方を、ふたりで模索する」
【海事】 ゴット
■ 寺岡寛 『瀬戸内造船業の攻防史』 信山社 3500円+税
1951年神戸生まれ、中京大学経営学部教授。
(帯)
☆地域産業としての造船業の現状と将来☆
日本の造船業は、日本経済や日本産業の現在のあり方を象徴している。その中心である瀬戸内沿岸の造船業に経営者論、産業構造論、中小企業論、地域産業論から徹底した実証分析を加え、日本造船業の将来像をさぐる。
……わたし自身が、造船の街・神戸に生まれ育ったこともあり、造船業はわたしにとってもっとも身近な製造業であった。小学校の頃は、造船所周辺がわたしの遊び場であり、船台で船が造られていく様子などはわざわざ工場見学など行かなくても、ごくありふれた毎日の日常風景であった。
……造船業の調査ということでは、大阪府に勤務していたときに有力な造船企業の調査を行って以来であった。いまから三〇年以上前のことである。当時の造船不況に苦しむ造船所の調査を通じて、その下請・外注構造や構内下請という造船業ならではの労働形態を知ることになった。また、いまではよく知られる三K――きつい、汚ない、危険――という言葉を知ったのもその頃である。……
参考文献に、海文堂出版の本が何点かあって、なぜかほっとした。
(平野)
10日は、J堂Iさんの帰省をとっ捕まえて「明日本呑み会」。J君の「退職&結婚パーチー」より多くの参加者。新女子会員獲得。次回おっさん共がまた多数来ることでしょう。