週刊 奥の院 8.4

ガールフレンド本、2

■ グレゴリ青山 『旅のうねうね』 TOKIMEKIパブリッシング発行 角川グループパブリッシング発売 1000円+税

 これまでの旅の話がいっぱいのコミックエッセイ。台湾、香港、中国、シンガポールから、お伊勢まいり、石切さん東大阪の神社)、淡路まで。
 

 旅の思い出って船の航跡に似てる。進んでいく時、船のまわりにうねうねした波の模様ができて、やがて消えていく。旅をしている人のまわりにも、うねうねとした思い出の模様ができる。思い出も、波の模様のように、やがて消えていくけど、ある時、ふと浮かび上がってくることもある。でも、それもまた波と同じで、まったく同じ模様で浮かび上がってくることはない。記憶の海に沈んでいる間に、その模様は、自分の都合のいいような形になって姿を現す。
 【グ】(ご自分のこと、原文は「丸印グ」)が再現するマンガも、きっとそんな波の模様みたいなものだと思う。


■ 『諏訪山動物園ものがたり  戦時下の動物園と子どもたち』
本文絵 豊田和子  文・表紙絵 立見瑛美  発行 池見宏子
  952円+税 
 
 元町から真北に坂を登って行くと諏訪山がある。学校、公園、神社など憩いの場所。登山口でもある。さらに少し坂を登ると金星台という広場に出る。ここに天体観測所があった。その坂の途中に戦前動物園があった。今も名残りがある。
 物語は、米軍の空襲に備え、動物たちを殺処分する話。全国の動物園であったこと。処分される前に栄養不良で衰弱した動物も数多くいた。
 戦争の悲惨、命の大切さを伝える。
 本文の絵を担当(ビラも)した豊田さんは仏画が専門。当店でも個展をしてくださった。1929年生まれ、もちろんガールフレンド。
(平野)