週刊 奥の院 7.22

■ 光嶋裕介(こうしまゆうすけ) 『みんなの家。 建築家一年生の初仕事』 アルテス・パブリッシング 1800円+税 
 著者は、内田樹邸=凱風館を作った建築家。1979年アメリカ・ニュージャージー州生まれ。早稲田大学石山修武に師事。大学院終了後ドイツで学ぶ。08年帰国して事務所開設。ドローイング集『幻想都市風景』(羽鳥書店も出たばかり。
 内田との初対面は内田宅の麻雀大会、知人の画家に連れられて。2ヵ月ほど後、まだ一軒も家を建てていない新進建築家に内田から設計依頼。
「どこかで最初の仕事は経験するわけですけれど、それがうちの道場/住宅であるならば、ぼくもうれしいです。若い人にチャンスを提供するというのは、年上の人間のたいせつな仕事ですから。」
 神戸市東灘区住吉、約85坪の更地。北に六甲山が見え、南は本住吉神社
 内田の希望は、1階に80坪の道場、その一部に能舞台(夫人が能楽師)。2階は自宅。書斎は、研究・執筆に集中でき、かつ宴会・麻雀もできる場所。プライベートエリアは夫人任せ。最後に「昔の武家屋敷のような感じ」と付け加えた。
 光嶋が目指したのは「内田先生のような」建築。内田に引きつけられて、周りには多くの魅力的な人たちが集まる。内田を中心にした互いに助け合うような共同体が形成されていて、その人たちみんなの家を設計したい。
 海外での思い出を交えながら、「凱風館」完成までを伝える。林業家、工務店経営者、職人さんたち、彼らの人柄・仕事ぶりも伝える。
 2011年11月12日、合気道道場と能舞台のある武家屋敷みたいな家」竣工
 スペシャル鼎談(漫画家・井上雄彦ゲスト)あり。
 施主・内田の『わたしの住まい論』も今月下旬に新潮社から。 
(平野)
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 主催:兵庫県古書籍商業協同組合 078−341−1569