週刊 奥の院 7.21

■ 清水玲奈 『世界の夢の本屋さん 2』 エクスナレッジ 3800円+税
 今回、イギリス8店、パリ2店、イタリア5店、ブラジル5店、アルゼンチン4店、中国2店、台北1店、そして日本7店を紹介。オーナー、店長、書店員たちのインタビューと、各店のイチ押し本も。

「世界の本屋さんを紹介する本を作っている」と人に言うと、「それはすばらしい。いい本屋さんはどんどん消えてしまっていますから、今のうちですよ」と言われることがある。
 しかし、『世界の夢の本屋さん』シリーズは、「古き良き時代の貴重な記録」ではない。
 たしかに店を閉じる本屋さんがある一方で、世界中には今も素敵な本屋さんが数多くあり、人気を集めている。人気のゆえんは何か。その答えは、けっしてひとつではない。……
 世界には、さまざまな意味で本屋さんを必要とする人たちがいる。
 読書人のニーズにきちんと応えるだけでなく、時にはうれしい驚きをもたらすことで、新たな読書人を生み出す本屋さんがある。そうした店の人たちは、慎み深い誇りと情熱を持って、独自の知識と方法論とセンスを発揮し、いつも遊び心と思いやりを忘れず、まじめによく働く。
 そういう本屋さんで、わたしたちは「偶然」の出会いに導かれて本を手にする。
 優れた本屋さんには、終わることのない物語がぎっしりと詰まっている。愛される書店たる秘訣を惜しげもなく語ってくれた世界中の本屋さんが、この本の真の著者だ。

 新しくて明るい本屋が多い中、パリの「シェイクスピア・アンド・カンパニー」、ボローニャの児童書専門店「ジャンニーノ・ストッパーニ」、フィレンツェ古書店「ゴッツィーニ」など、歴史の重厚さが店に現れる。
 日本も明るくきれいな新築のところが目立つ。
やはり、京都「恵文社一乗寺店が素晴らしいと思う。
ここの“一冊”は、『図案辞典』(野ばら社)
「実用としてはもうだれも使わないカット集ですが、レトロなイラスト集としてとらえて、乙女のための本棚に……」
表紙は大劇場のよう。
「エル・アテネオ・グランド・スプレンディッド」。1903年アルゼンチン・ブエノスアイレスにできたイタリア様式の国立劇場が、歴史を経て、2000年に本屋になった。歴史建築を保存・修復、2000平米、在庫35万冊。店長は現役の作家でもある。「ここは世界一美しい本屋」と誇る。
世界中から観光客もやって来る。
(平野)
● ヨソサマのイベント

 海上保安庁展 2012 いのちを救う仕事  
 7.31〜9.2  神戸海洋博物館 078−327−8983 月曜日休館 
 大人:500円 小・中学生:250円