月曜朝礼 新刊案内

【文芸】 クマキ
■ 丸谷才一池澤夏樹 編 『愉快な本と立派な本 毎日新聞「今週の本棚」20年名作選 1992〜1997』 毎日新聞社 3500円+税
「1998〜2004年」8月予定  「2005〜2011年」11月予定 
 装丁・イラスト 和田誠
 毎日新聞の書評集成。
 丸谷才一「三ページの書評欄の二十年」より
 平成3年(1991)6月、毎日新聞社社長が新編集局長に要望。
「とにかく相手は朝日だ。向うがどうあがいてもかなはないものを何か一つ作つてくれ。……」
 局長、雑誌「東京人」の「東京ジャーナリズム大批判」を読んで、丸谷起用を思い立つ。
 

 相手の語る用件はわたしを驚かせた。今度、書評欄を刷新するに当つてわたしにすべてを任せたいといふのである。これは、日本の新聞社がどんなに官僚的で、社外の者の介入を嫌ふか(たとへばあの夏目漱石といへども朝日文藝欄では敗退せざるを得なかつた)をよく知つてゐるわたしにとつて、衝撃的な申し出であつた。そんなことができるだらうかとわたしはあわただしく考へ、しかし、「はい、お引き受けします」と答へた。やつてみたくて仕方がなかつたのだ。……
 (丸谷が執筆者の人選をし、和田をイラストだけではなく全体のデザイナーにする。取り上げる本は、編集部が作成する毎週の新刊・近刊「ニューズ・レター」から各人が希望をデスクに伝える。重複すれば、原則早い者勝ち、時にデスクが調整)
 自主的な本選びは、大新聞の書評では画期的な試みで、書評欄活性化にすこぶる役立った。(他の新聞書評欄にも影響を与えた)
 すなはちわれわれは書評といふ角度からはいつて日本文化全体を活性化した。……
 わたしとその後任である池澤夏樹さんの編集した「今週の本棚」書評名作選は、さういう事業の記念碑である。一般読者子の教養と娯楽のための読書の指針として好適であることは言ふまでもないが、これによつて読者は、暗くて不景気な時代と目されてゐるこの二十年間、われわれの文化がどのやうに健在であつたかを望見することにならう。読みごたへのあるおもしろい本はたくさん出てゐる。これを読まずにはふつて置くのは賢い態度ではない。……

 執筆者60名あまり、取り上げた本560冊以上(本書のみで)。すでに入手できない本もありましょう。評論集としてお読みください。 

【芸能】 アカヘル
■ 吉田秀和 選・訳・著 『CD版 永遠の故郷』 集英社 予価 8000円+税
CD5枚+訳詩集4冊+エッセイ1冊
6月発売予定 予約受付中
写真は内容総合カタログ。
エッセイ集『永遠の故郷』 全4冊 集英社(各1600円〜1700円+税)発売中。

◇ お知らせ
■ 郄田郁 『晴れときどき涙雨 郄田郁のできるまで』 創美社集英社発売) 予価933円+税 7月26日発売予定 
 郄田郁 初エッセイ集。苦節○年、そんなことは微塵も感じさせない人です。でもね、不幸に耐え、病に打ち克ち、事故を乗り越え、涙を糧に……、
「自分の人生に悔いが残るとしたら、それはまだ時代小説を書いていないこと……」
 今日の苦しみ明日の肥やし、筆1本に命を賭けて、きっと咲かせる大輪の花。
 演歌みたい? まだまだこれからこれからの郄田さんです。