週刊 奥の院 5.28

■ 大崎映晋(えいしん) 『潜り人、92歳。 皇居から原発まで、日本の「タブー」を潜り続けた男』 新人物往来社 1500円+税
 1920(大正9)年群馬県出身。水中写真家、水中考古学者、海女文化研究家。中央大学経済学部卒業、東京藝術大学油絵画科中退。38(昭和13)年トレジャーダイバー・片岡弓八に師事。戦中は海軍水路部勤務、真珠湾攻撃時の「無線方位図」製作。戦後、名取洋之助門下となり岩波写真文庫制作スタッフ、内外の映画の水中撮影など。国際コンクールで受賞。70年、ジャック・マイヨールフリーダイビング世界記録を出した時にサポート……。ざっと経歴を見ただけでも波乱万丈の人生。 
目次 
日本篇 1 皇居を潜る 2 原発村を潜る 3 沈船を潜る 4 海女村を潜る 5 雲仙を潜る 6 山中湖を潜る
世界篇 7 シチリアの海を潜る 8 クナ族の島を潜る 9 オーストラリアの沈船を潜る 10 ナンマドール遺蹟を潜る 11 エーゲ海を潜る

 潜った海は「両極周辺の海以外すべて」と自負する。

 いま思い返せば、どれもこれも「潜り人」だったからこそ経験できたことばかりである。
 日本は周囲を海に囲まれた海洋国家であるにもかかわらず、自国の領海内に沈船が何隻あるかも調べていない、水中考古学が発展していない国である。本書が、日本に水中考古学が根付くきっかけの一助になれば……。

 皇居のお堀に潜ったのは69年6月。石垣の地下深いところを地下鉄が通ることになり、日本土木協会から石垣下部構造の調査依頼。博物館・国会図書館江戸城築城の文献探しから始まった。宮内庁に石垣周辺のボーリング調査を申請するが拒否される。石材の調査(石のルーツ探し、運搬方法など)をしてから潜る。約1ヵ月の調査で、「関東ローム層の軟弱な地盤上に巨大な赤松の丸太でできた筏を敷き詰め、そこに石垣が乗っている」と判明。筏には垂直に杭が打ち込まれていた。この手法は11世紀末のヴェネツィアの都市建設と同じとか。400年以上たっても役割を果たしている。「潜る」ことによって、日本中世の土木技術が解明された。
(平野)
 配布中。 『水道筋練習帳』 2011 & 2012 灘中央地区商業振興会
 

 水道筋は、灘区「阪急王子公園駅」東から都賀川まで7つの商店街と4つの市場が繋がる街。
 この街でお店を営む人、買物や飲食を愉しむ人、子育てをするお母さん・お父さん、そして子どもたち・・・さまざまな方々のご協力をいただいてでき上がりました。取材・編集スタッフもすべて水道筋で暮らす、いわば「純度100%の水道筋読本」。ご近所に住んでおられる方はもちろん、他の街の方々にも、住みよく、便利よく、ちょうどよい水道筋の魅力が伝われば、とてもうれしいです。(「2011」より)
 編集に加わっている松本創さんのお世話で当店でも配付しています。
 デザインは神戸の子どもたちが愛用している学習ノート「神戸ノート」(関西ノート製)より。
「水道筋」、大正時代に西宮から神戸に水道管が通され、その上にできた通り。