週刊 奥の院 5.27
■ 平川敬治 『タコと日本人 獲る・食べる・祀る』 弦書房(福岡市) 2100円+税
カバーの写真は熊本県天草市のタコ干し。裏側には明石のマダコ壷(土製)とイイダコ壷(貝製)。
第1章 タコを騙す――漁撈
1 タコを獲る 2 タコに住まいを提供するタコ壷漁 3 タコに食を提供する手釣り漁 4 世界の中のタコ漁
第2章 タコに騙される――言葉と食
1 タコの特性 2 タコと言葉 3 タコを食べる 4 祭りとタコ焼き
第3章 タコと人が織りなす世界
1 タコの変身――水と陸の世界 2 蛸薬師・蛸地蔵の話――タコが海中から持ってくる 3 悪さをするタコ――陸に上がる 4 豊饒のシンボルとしてのタコ
日本のタコ壷漁の歴史は古く、弥生時代中期のものが出土しているそう。日本人のタコ消費量は世界一で、漁獲量の2/3がわれわれの腹に入る。
生で、干して、焼いて、煮て、発酵させて……、タコ飯も。関西ならタコ焼き、ソースでよし、出汁でよし。
タコ、漢字だと、蛸、鮹、章魚。中国では望潮魚。これら漢字の解説やら各国の呼び名、「オクトーバー(10月)」という月名の謎などを読まなければ「食」の話に進めない。それだけ人間の生活と結びついている。
「騙す・騙される」という各章の題が、タコと人間との関係で、それが文化。
著者、1955年福岡県出身。考古学、地理学、民族学。著書に、『カミと食の生業の文化誌』(創文社)、『魚と人をめぐる文化史』(弦書房)他。
(平野)
◇ よそさまのイベント
「シンポジウム 震災後の表現――神戸から東北へ」
6.17(日) 14時〜17時 神戸凮月堂ホール 参加費:当日1200円 予約 1000円
申し込み先 アーツアンドクラフツ 03−6272−5207 神戸連絡先 季村 078−781−8892
季村敏夫(神戸在住、詩人) 宮本隆司(写真家、神戸芸術工科大学教授) 細見和之(大阪府立大学教授、ドイツ思想研究、詩人) 正津勉(詩人)
協力:神戸凮月堂、市民活動センター神戸、震災・まちのアーカイブ、海文堂書店、ギャラリー島田