週刊 奥の院 5.14

■ 『雲遊天下 110』 ビレッジプレス 500円+税 
特集 酒場考 
悪場所じゃない酒場はつまらない  藤木TDC――アダルトビデオ、酒場、闇市など「昭和」の匂いを追うライター。
 

酒場っていうものは負の歴史の積みかさねみたいなところがあると思うんです。しょんべん横丁や新宿ゴールデン街も、「あんなところに行くもんじゃない」「あんなところで食べたらお腹壊すわよ」などといわれる場所だったわけで、いまは開放されて、OLとかが来るような場所になってしまいましたが。……基本的に悪じゃないですか、酒場の本質は。

金かくしのない町  武藤良子 「……最後に覚えているのは、朝顔型の男便所。この小さな飲み屋に、金かくしのある女便所はないのだ。……」
呑みたい人と“話”をアテに  小堀純 中島らも「せんべろ」の思い出
酒とワタシと北九州  宮下緑  北九州の正統的居酒屋から風俗街の店、屋台、そして酒屋の「角打ち」
昨今神戸居酒屋盛衰記  中村よお 元町、三宮、灘・水道筋、行きつけの店の閉店
金かくしのない町  武藤良子 前項の続き
[記憶のかけら]酒場  大川渉 「……人はなぜ酒を飲むのか。もちろん酔うためだ。とすると、ウィスキーをコップになみなみと注ぎ、ひとり、部屋の壁とにらめっこしながら、ぐびっと飲み干せば、あっというまに酔うことができる。しかし、薬物を摂取するように飲んだのでは、本当に酔うことにはならないと思う。……自分の気に入った酒場と言う空間で飲んで初めて、人は心地よく酔うことができるのだ。……」
(平野)