月曜朝礼 新刊紹介

【文芸】 クマキ
■ ロバート・キャンベルの小説家神髄  現代作家6人との対話』 NHK出版 1300円+税 
 NHKテレビ「J ブンガク」でおなじみのキャンベル教授、専門は江戸・明治の漢文研究。番組で取り上げるのは「近代文学」。視聴者に文学の面白さをどう伝えるかを考えていたことが、この対談につながる。教授の研究対象者には話を訊くことができない。
 行間への思いやりを込めて。 道尾秀介  
 フツーなんて、ないのです。 江國香織
 影のための文学を書き続ける。 朝吹真理子
 土壇場で踏みとどまる力。 和田竜
 ポジティブな劣等感を胸に。 朝井リョウ 
 虚構が現実に負けてはいけない。 桐野夏生 

【芸能】 アカヘル 音楽本3冊 

■ 『音盤時代の 音楽の本の本  グレートハンティング・オブ・ミュージックブック』 カンゼン 1400円+税
 音楽評論誌『音盤時代』が選ぶ「音楽の本」ブックガイド。

イントロ 音の聞き方が変わった本
書くひとに聞く 音楽本を読む
推薦図書 ザ・グレーテスト・ヒッツ・オブ・音楽本 (50音順)
「はじめに」(浜田淳)より。

……音楽について書かれたもの(なかでもロック)がちょっとナメられてるんじゃないか、という思いがあるのです(ナメてるのがぼくだけならいいのですが)。


 ほとんどの文章がソフト発売に合わせてのオススメ。
 逆に、世間から疎遠に感じられる部分、流行音楽だけではなく、様々なジャンル・嗜好がある。

……そもそも音楽とは、何千年も昔から、人間の暮しに寄り添ってきたものです。……祭りのときは神や大地にむけて、奴隷労働や仕事の場ではその苦役を忘れるために、国家に虐げられしときはその憤りをひっそりと育てるために、あらゆる時代においてあらゆるひとびとによって歌いつがれてきたものです。そんなものにたいする思いや考えや研究が、おもしろくないはずがないのです。

 担当は音楽書棚に反映させたいようですが、品切れ本が多い。
■ 寺島靖国 『JAZZ雑文集』 DU文庫 950円+税 
 ディスクユニオンから文庫登場。『一冊の本』(朝日新聞出版)連載、読売新聞文化欄、『スイングジャーナル』連載をまとめた全700ページ超。
■ 片岡義男 小西康陽 『僕らのヒットパレード』 国書刊行会 1800円+税
 装幀、平野甲賀
(担当)判型といい、世が世なら【犀】のマーク「晶文社」から出たであろう本。
 LPレコードの時代。 
片岡は高校時代から米軍基地やワシントン・ハイツの売店で入手、60年代になると町のレコード店。70年代からはFM番組を担当して、1回の放送のためにLPを20枚くらい買っていた。今も中古店をまわる。

……どうしてこれほどLPを買うのか、その理由はただひとつ、買わないことにはなにも始まらないからだ。まだ自分の知らない音楽が、どこにどれだけ眠っているのか、遭遇しないとわからない。
……レコードを愛することと、音楽を愛することは似ているようだがまったく違う。レコードが素晴らしいのは、そこに封じ込められた音楽や会話、あるいは音のすべては、過去に奏でられ、発せられたものだ、ということだ。

 

言葉も、歌も、音楽も、ひとたび発音された後は時間の彼方に消えてなくなっている。どんなに新しい音楽も、録音されたときには過去のものとなっている。レコード・コレクターとは、つまり古いものを、過去を、もう取り戻すことの出来ないものを愛おしく思う人々のことだ。(小西)

 





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