週刊 奥の院 2.6

■ 奥村弘 『大震災と歴史資料保存  阪神・淡路大震災から東日本大震災へ』吉川弘文館 3200円+税  
 1960年名古屋生まれ、神戸大学大学院人文科学研究科教授、歴史資料ネットワーク代表委員。
 歴史資料ネットワークは、
(1)阪神・淡路大震災後の保全歴史資料の保存と活用 (2)震災の資料・記録の保存と活用 (3)被災地を中心にした市民の歴史研究活動援助 (4)大規模自然災害についての史料保全、歴史研究についての提言 (5)大規模自然災害の際の歴史学会活動のセンター的役割 (6)市民社会の歴史資料のあり方についての研究 
 などの活動を行う。
序章  阪神・淡路大震災から東日本大震災へ  
第1部 大規模自然災害における歴史資料保全のあゆみ
第2部 震災の記憶を未来につなぐ
第3部 災害に強く、豊かな地域歴史文化を生み出すために

 3・11、奥村は丹波篠山で庄屋文書の保全活動中だった。大地震に対応するため、その夜に歴史資料ネットワークの緊急会議を開催。
……津波警報を繰り返し伝えるラジオを車中で聞きながら、私自身は、その時申し訳ない思いと悔しい思いに駆られた。……
阪神・淡路」から16年、研究会で、神戸の人間は地震にこだわりすぎると言われ、それに対して説得的に対応できず、怯んでしまったことがあったから。また、大地震に備えて歴史文化の領域から提言を出すことができなかった、と。
 研究者の真摯な姿がここにあります。
 カバーの写真は阪神・淡路で被災したビル、三宮センター街・トアロード。
(平野)
 太田静子さん、ちゃいます、治子さん、想像していたよりずーっと“天然”系の方でした。静子さんは母上でした。