週刊 奥の院 2.3

今週のもっと奥まで〜
■ 田中慎弥 『共喰い』 集英社 1000円+税 
 ここだけの話ですが(あっちこっちでしてますけど)、私、この人に似てる、と指摘されました。それも二人、少ない! 年齢がだいぶ違いますな。痩せててメガネ、というとこだけですな。
 芥川賞受賞時の発言で注目されていますが、これまでに「新潮新人賞」「川端康成文学賞」「三島由紀夫賞」受賞。
 主人公遠馬の母は家族と別れてひとりで魚屋。父は暴力オヤジ、愛人を同居させている。オヤジはナニの時、女を殴りつける。遠馬もある日ガールフレンドの首を絞めようとして嫌われる。遠馬は父の別の愛人のアパートに行く。

……遠馬が、自分のしていることをますます信じられなくなったのは、女の色の白さが、塗り重ねた化粧によるものだったからだ。裸にし、肉を掴むと、腐った皮がめくれるように掌に白いものがつく。父のお古だと思う。……役に立たない肉の塊だと言い聞かせる。そう納得すれば女から離れられそうだと思ったのだ。だが、肉だと思った途端に欲求がはじけ、性器が反応する。女は表情を変えずに自分の方から腰を浮かせ、位置を調節し、迎え入れる恰好を見せる。遠馬はただ恥ずかしくて、右腕を振り上げると、女の頬へ平手打ち下ろした。繰り返し叩いた。女はその度に顔を元のところへ戻す。住んだ眼が据わっている。まだ迎えてくれようとしていた腰を拒まずに、一気に突き、頬を叩いたのと同様に何度も突き上げる。……

 個人的には、読むのがつらい作品です。
(平野)
碧野圭さんの書店訪問ブログ更新されています。
 http://aonokei.cocolog-nifty.com/syoten/2012/01/124-1d5f.html

【海】HPも更新。 http://www.kaibundo.co.jp/index.html