週刊 奥の院 1.28

■ 鈴木創士 『サブ・ローザ 書物不良談義』 現代思潮新社 2600円+税
“創さま”新刊。 
(帯) 本とは「陰謀」である!

 Sub rosa.ラテン語。「薔薇の下で」。英語として使われる場合は、「秘密裡に、内密に、こっそりと」という意味になる。イギリスの政府筋、諜報機関では「オフレコの秘密会議」を指す言葉のようでもあり、かつてハンガリーの人びとにとってはただちに「陰謀」を意味していたらしい。また知る人ぞ知るベルギーのエレクトリック・ミュージックのレーベルの名前でもある。すべての秘密作戦は山頂や地下室ではなく薔薇の下で(原文は傍点)謀議されるのだ。
 アフロディーテは息子エロスに薔薇を一輪与えた……。ギリシア神話においては、薔薇は「秘密」の含みがあるようであるが、ここでなにもアフロディーテとエロスの話をしようというのではない。というかむしろ問題にしたいのはエロスの唇を刺した蜂の針、あるいは薔薇の棘であり、つまりは「陰謀」のことである。……

 現代思潮新社のHPで連載している同社の出版物についてエッセイを中心に、哲学・思想、文学、芸術から音楽、そして「らも」まで古今東西ジャンルを越えて、縦横無尽に駆けめぐる。
 本書は、同社の創業者、「左手にサド、右手に道元、脳髄にマルクス」! 石井恭二追悼緊急出版 です。
(平野)