週刊 奥の院 1.14

 平凡社ライブラリー? 富士見ロマン文庫とちゃう?
■ ジョン・クリーランド 『ファニー・ヒル 快楽の女の回想』 小林章夫 1400円+税  
 18世紀イギリスの性愛文学新訳。これまで邦訳は多く、吉田健一の名も。
 内容は、
「十五歳から十九歳までをほとんど娼婦として生きた女性が、やがて初恋の男と再会して結婚、それまで貯めた金で満ち足りた中産階級の生活に入り、幸福に、そして誰からも後ろ指を指されずに生きていけるようになった時点で、若き日々を振り返って、その生活ぶりを回想しながら、特に波乱に満ちた性生活を赤裸々に綴った作品」
 奥様という人物に宛てた書簡で物語が進む。主人公は貧しい生い立ち、両親を亡くし、田舎からロンドンに働きに出る。職業斡旋所で得た勤め先は立派な家。メイドかと思ったら……、いきなりレスビアンの洗礼。
 カバーの絵はフランス語版(1776年)の挿絵。





■ マルキ・ド・サド=原作 澁澤龍彦―訳 会田誠=絵 『ジェローム神父』 ホラー・ドラコニア少女小説集成 1400円+税  
 サドのSM小説+澁澤訳+会田アート。同ライブラリーの分類では「文芸・ホラー」とある。上記『ファニー・ヒル』は「性愛文学・イギリス」だが、サド文学は「性愛」ではなく「ホラー」なのだ。悪逆の限りを尽くす聖職者たち。

 二日続けて「もっと奥まで〜」になってしまった、うれしい。
(平野)
どこかの誰かが、わてのことを、痴的でエロくてスットコドッコイ、と。