月曜朝礼 新刊紹介

【文芸】クマキ
■ 岡井隆 『わが告白 コンフェシオン』 新潮社 1900円+税
 歌会始の選者として有名。日本を代表する歌人で、文芸評論家。その自伝小説。  
 もともとは慶應医学部卒の内科医。以前「日経新聞」の『私の履歴書』で自伝を書いたが、ボカしている部分があった(担当者談)。
 現夫人は3度目の妻、32歳の年齢差、ユンゲ・フラウ(若き妻)と呼ぶ。医師時代に地位も家庭も捨てて失踪。ほかにもいろいろ……。
 

 わたしは、昭和三十三年アララギ系の素朴リアリストだったAからのがれて、Bと棲んだ。あのときも短期間だったが筆を捨てて、そのあと、表現の実験へ行った。歌集『土地よ、痛みを負え』は、今「前衛短歌」の代表歌集の一つとよばれるが、あの本は、そこで使われた歌のレトリックそのものが、失踪の記録だったのかもしれない。
 おなじような比喩で言えば歌集『天河庭園集』の世界を捨てて沈黙した昭和四十五年の九州行はCと共に、家出したのであった。そして五年間止めていた歌集『鵞卵亭』の境地へ行った。このときも、Bとのときと同じく歌は本気で止めるつもりだったのである。一見すると『鵞卵亭』にはアララギの匂いがするが、しかし、別天地であった。表現よりも表現者が大事である。表現者がどんなところに棲んで誰と生活と生活したかがぼくの場合大事だった。女が先に居て、新しい愛が生まれて、その女と失踪するかたちをとっているが、実は失踪へのモチーフはもううずうずするほどたまっていて、女がそのきっかけを与えたともいえる。おそらくこの二つの(女とモチーフ)は重なっているのだろう。

 凡人には理解が難しい理屈ですが、表現者の“業”というものでしょうか。

(平野) 
●アカヘル、実は入院中です。頭はまだ大丈夫なようですので、ハゲ増しのメールをしてやってくださいませ。個人アドレスご存知なければ、【海】アカヘル宛で。転送いたします。 books@kaibundo.co.jp
 
●「朝日新聞」12・25朝刊より。
 

 東日本大震災で本屋がなくなった岩手県大槌町で22日、自身もここで被災した元会社員の男性が書店を始めた。被災地の、とくに子どもの「心の復興」を支えたいと、脱サラして未知の世界に飛び込んだ。復興への第一歩の意味を込め、店を「一頁堂」と名付けた。

●NR出版会HP、連載「書店員の仕事12」は米子市杉島書店さん。
http://www006.upp.so-net.ne.jp/Nrs/memorensai_18.html


神姫バスのWebマガジン「ニコパポータル」に【海】が紹介されているそう。
http://www.nicopaclub.jp/life_culture/kaibundo/index.html
 知らんかった。モデルさんの来店、誰も教えてくれへんかった。秘密裏に行われた取材?