月曜朝礼 新刊紹介 & 他いろいろ
【文芸】 クマキ
■ 辻井喬 司馬遼太郎覚書 『坂の上の雲」のことなど かもがわ出版
1800円+税
司馬作品を、いわゆる「司馬史観批判」ではなく、文学作品として批評する。
辻井が司馬作品を読み直そうと思ったのは、新船海三郎の評論を読んで。
新船は、『坂の上の雲』が歴史家の批判を受けていることについて、こう書く。
従来から、歴史小説は歴史家が多く問題にしてきたとはいえ、これはなぜか淋しい現象ともいえた。論点の中心が、作品評価と切り離せないとはいえ、作家の歴史認識、事実認識に置かれているからである。……
司馬遼太郎は、一つの目でものごとを見るのを嫌った。一つのイデオロギーに取り込まれる恐怖と嫌悪におののいた戦時下の体験から来ていた。……
(『坂の上の雲』執筆の動機を)敗戦時に司馬がもっていた一つの感慨、憤怒にあると考えている。……
司馬は、明治維新を革命と見るが、そこに近代国家を形成するにふさわしい思想あるいはイデオロギーはなかったとくり返し語る。
近代国家の本質的脆弱性を見抜いていた、と。
目次
○ 司馬遼太郎を考える
○ 『坂の上の雲』を読む 秋山兄弟と正岡子規 「祖国防衛戦争」としての日露戦争 乃木批判にかさねた昭和軍部批判 「死んだ連中」への思い ……
○ 司馬文学を分析する 民衆文学者として 文明批評家としての目 文学と歴史、あるいは創造と史実 明治維新の評価と天皇観 司馬遼太郎と松本清張 ……
○ 司馬文学の個性
新船の評論も収録。
◇ アカヘルのブックフェア
「恵光社と選ぶクリスマスのための海外文学」
ジュンク堂書店西宮店ジミッチーと【海】アカヘルが恵光社さんと共同企画したフェア。
■ アイルランドの作家ブレンダン・オキャロルの新刊『グラニー』刊行記念。
伊達淳 訳 恵光社(えこうしゃ) 1600円+税
第一作『マミー』(白水社・2003年)、第二作『チズラーズ』(恵光社・2010年)、そして三部作完結。伊達さんが原作に惚れ抜いて翻訳してきた作品。
主人公アグネス・ブラウンは夫を亡くし、幼い子ども7人を必死に育てる。子どもたちは巣立ち、それぞれ家庭を持つ。アグネスはグラニー(おばあちゃん)に。子どもたちの中には波乱の人生を歩んでいる者もいる。四男ダーモットは刑務所暮し。
『マミー』は出版社品切れ中ですが、今回両店で販売できることになりました。
フェアでは野郎ばっかりで選んだ「クリスマス文学」が並んでいます。伊達さんがフェア選書リストを冊子にしてくださいました。三人の「クリスマスの思い出」エッセイも。
なんで女子を巻き込まなかったのか? ジミッチーとアカヘルの「クリスマス」なんか知りたくない!
話題は変わります。しさびさ(興奮ぎみ)にN市Sさんからお手紙。うれしいので公開!
「恋人にするなら〜」にポー! おっさん、アホです。
『ほんまに』休刊を残念がってくださいます。またひとり女を泣かせてしまった。
同封の冊子に地域の書店員さんの写真があるのだけれど、Sさんだけイラスト(しかもノッペラボー)。どーして? いつか会える日まで、謎のままにしておきましょう。
Sさんありがとうございます。
(平野)