月曜朝礼 新刊紹介

【文芸】クマキ

■ 小澤征爾 村上春樹 『小澤さんと、音楽について話をする』 新潮社 1600円+税  
 村上さん(以下敬称略)はひとりの音楽ファンとして、小澤のコンサートに足を運んでいたが、ご本人とは親交はなかった。小澤征良と村上夫人がお友だちで、そのつながりで時々顔を合わせるようになった。 「仕事とはまったく繋がりのない気楽なつきあい」。
 初めての会話は京都の飲み屋。小澤が娘に報告すると、対談の記録を勧められた。
 インタビューの時期は、2010年11月から11年7月。東京、ホノルル、スイス。ちょうど小澤は大手術後の療養期間、それでも各地で指揮台に立っておられた。

……その身を粉にした奮闘ぶりに素直に心を打たれるとともに、「こんなことをしていて、果たして身体は大丈夫なのだろうか」と心配しないわけにはいかなかった。そこに生まれた音楽は実に素晴らしく、また感動的なものだったが、それを可能にしたのは、小澤さんが自分の中から最後のひとかけらまでかき集めたエネルギーだった。……

 村上は、控えめにふたりの共通点を語る。
「生き方の傾向として、共感を抱けるところがある」


 小澤は、想い出がどんどんと出てくる。

……今まで毎日の音楽でいそがしくて、考えもしなかったのに、出てくるわ、出てくるわ。なつかしかった。今までの私にはない経験だ。大手術も悪いことばかりではない。カラヤン先生のこと、レニーのこと、カーネギー・ホールのこと、マンハッタン・センターのこと、ずるずる想い出が出てきた。その後、春樹さんのおかげで、三、四日は想い出づけになった。……

 PR誌『波』12月号で丸谷才一が詳しく紹介しています。合わせてお読みください。
■ 中田永一 『くちびるに歌を』 小学館 1500円+税
 合唱コンクールの課題曲『手紙〜拝啓十五の君へ〜』(アンジェラ・アキ作詞・作曲)をモチーフにした小説。五島列島の中学生たちの倶楽部活動に取り組む姿を描く。そして、15年後の自分への手紙。
(帯)に書店員たちの感想・推薦文。これを読んだだけで紹介してはいけないのですが、青春小説の傑作の評価。
 クマキによると、著者は覆面作家で、別名はよく知られた人だそうです。


【芸能】アカヘル
■ 田崎健太 『偶然完全 勝新太郎伝』 講談社 1900円+税  著者は元「週刊ポスト」編集者。スポーツノンフィクション執筆、早稲田大学で「スポーツジャーナリズム論」。「ポスト」時代に勝の「人生相談」を担当し、「最後の弟子」を自認。勝の生き様こそ、勝の最大の作品、と語る。
 まだ20代半ばの頃、勝と昼食で蕎麦屋
 

ざる蕎麦には、日本酒を掛けてほぐすのが勝の食べ方だった。初めて一緒に蕎麦を食べた時、「ちょっと待て、そこまでだ」と箸を止めさせられた。ぼくはつゆをつけすぎるというのだ。「シッポのちょっとだけ、つけるんだ」と言うと、派手に音をたてて蕎麦を吸い込んで見せた。まるで芝居の一場面だった。

座頭市兵隊やくざ、不知火検校、悪名、河内山宗俊……、いい役者は“悪”が似合う。









【海事】
■ 白井一信 『帆船模型製作技法』 復刊ドットコム(ブッキング、オンデマンド出版) 3200円+税  
05年出版。隠れベストセラーと言われている本。18世紀後半のイギリス海軍戦列艦を例に、製作テクニックだけではなく、模型製作に必要な船の構造や機能も説明する。













◇ 今福龍太 トーク&サイン会 写真追加。

 真ん中の帽子の方が今福さん。撮影F店長。
棚写真は平野。
 



































◇ ヨソサマのイベント
■ 地震津波を受けとめて」 自然災害を語るシンポジウム
12.9(金)16時〜19時 神戸芸術工科大学 吉武記念ホール 入場無料
 津波襲来現場をビデオカメラに克明に記録した、釜石在住瀬戸さんを招いて話を聞く。
 パネラー 季村敏夫(詩人) 宮本佳明(建築家) 齊木崇人(神戸芸術工科大学長) 宮本隆司(写真家)

(平野)