週刊 奥の院 11・3
■ 岡田憲治 『静かに「政治」の話を続けよう』 亜紀書房 1600円+税
『言葉が足りないとサルになる』(同社)の政治学の先生。
日本社会は、大震災と原発事故、それに対応する政治・行政・メディアの迷走で「トンデモナイ事態」になっている。とくに原発事故は「私たちの生の営みや未来の希望を奪うもの」。
それでも私たちは生きていかなければならない。
顔を上げて、はらわたの底からもう一度ぐっと力を入れて、静かに呼吸をして次のように考えます。そうするしかないのです。
「私たちにとって人生の前提が変わりつつある今は、古い何かが終わり、新しい言葉と力が生まれるチャンスなのだ」と。
インターネットなど多様化したメディア状況のなかで、私たちがしなければならないことがある。
「公共の場でのものを言うマナーやルールを確認する」
「言葉そのもののすり合わせ作業をある程度しておく」
政治をめぐる誤解や曖昧な言葉を、「切ない問題」「そもそもわかっていない問題」「誤解されている問題」に分けて説明してくれる。
「切ない問題」 政治が「ワカル」 日米関係が「もたない」 民主「主義」など。
「そもそもわかっていない問題」 「政治責任」「国家」「リベラル」など。
「誤解されている問題」 「バラマキ」「サヨク」「リーダーシップ」など。
たとえば、政治が「ワカル」。1冊本を読んでワカルか? TVの「たけし〜」や「たかじん〜」を見てワカルのか? 選挙速報で、すぐ当選確実と出ることが政治をワカルことなのか?
政治の世界の裏側を知りたいとか、ニュースをよりワカルために国会や議員や選挙について知りたい……。雑誌や池上さんの本を読めばそいうのはワカルかもしれない。
著者は、「そういう本は自信を持って紹介できません」と答える。
政治をワカルということは、世界を見る「視点」を手に入れるという意味。そこから政治を評価しなければ、結局人のいいなりになる。公共事業見直しや原発問題について、自分の問題としてとらえ、自分がどう評価するかということ。
……普通に政治を語るとは、丸投げせず、政治家や官僚をいたずらに蔑まず、そして政治や政治家を評価することです。こうしたことにガヤガヤとうるさい幼児語は必要ありません。思いよ届けとなされる絶叫も必要ありません。自分で取材しないで役所のペーパーを垂れ流すような、それでいてセンセーショナリズムを煽るようなマスメディア調の大声もいりません。流行りのフレーズではありませんが、やはりこう呼びかけたいのです。
「みんなでそろそろ静かにちゃんと政治を語ろう」と。
表紙の写真は著者撮影。
(平野)
石井光太さん トーク&サイン会
『遺体 ―震災、津波の果てに―』(新潮社)刊行記念 津波の跡を歩いて 聞き手 松本創
● と き 11月5日(土) 14:00〜16:00(開場13:30)
● ところ 海文堂書店 2F・ギャラリースペース
● 主催:新潮社 協力:140B
● 入場無料
■ 要「整理券」。先着50名様に整理券をお渡しいたします。
海文堂書店店頭で、またはTEL・FAX・メールにて海文堂書店までお申し込みください。もうすぐ満員になりそうです。お早めに。
(お申し込みの際には、お名前・電話番号・参加人数をお知らせください)
詳細は【海】HPをご覧ください。
http://www.kaibundo.co.jp/index.html