月曜朝礼 新刊紹介

【文芸】クマキは、既に私が当欄で紹介してしまった、『その日の久坂葉子』と『安全な妄想』であった。先走り、デシャバリで申し訳ない。
【芸能】アカヘル
■ 代島春彦 『ミニシアター巡礼』 大月書店 2500円+税
 1958年生まれ、映像製作者。94年9月から03年4月まで、ミニシアター「BOX東中野(現在ポレポレ東中野)」経営。06年、「BOX」で1年間開催した森達也「夜の映画学校」講義をまとめ出版した(現代書館)。07年よりNPO法人映画美学校講師。
 本書出版の経緯。編集者との話しのなかで、
「どうしてミニシアターをやろうと?」
「人間には“あの暗闇”が必要なんだよ」
「ミニシアターの必要性を本にしませんか」

 小さな映画館=「BOX東中野」という“あの暗闇”を失ったことによる喪失感は、予想以上に大きかった。JR中央線沿線を中心に映画館になりそうな不動産物件を探し歩いたこともあったが、いい出会いはなかった。借金が残っただけで、自信は残らなかった。「しばらくは“漂流する映画館”をやりながら、今後のことを考えます」なんて調子のいいコメントを吐いたこともあったが、一時しのぎのでまかせだと自分でわかっていた。「シネコンの増加で映画市場が二極化し、ミニシアターの経営環境は厳しさを増している」なかで、ぼくはつぶれた。しかし、そんな厳しい状況のなかで“あの暗闇”を守りつづけている人たちがいる。


 06年11月那覇桜坂劇場」からスタートして足かけ6年、再訪も含めて全国の12軒を巡った。
 札幌「シアターキノ」 名古屋「名古屋シネマテーク」 新潟「市民映画館シネ・ウィンド」 伊勢「近富座」 金沢「シネモンド」 大阪「シネ・ヌーヴ」 京都「RCS」   大分「シネマ5」 高崎「シネマテークたかさき」 岡山「シネマ・クレール」 渋谷「ユーロスペース」 
 大学映画研究会から〜、居酒屋で稼ぎながら〜、市民が集う〜、おばあちゃんの映画館〜、さすらいのギャンブラー〜、映画とは農である〜……。
 
■ 武満徹映画エッセイ集 『映像から音を削る』 清流出版 1800円+税
 目次
1 映画界は滅びても“映画”は滅びない
2 テキサスの空、ベルリンの空
3 映画音楽 音を削る大切さ

 武満徹(1930−96)、世界的作曲家。映画好きで年間300本見ていた。映画音楽でも大きな業績を残す。『CD武満徹全集』(小学館)全5巻のうち2巻が映画音楽。小林正樹監督『切腹』、勅使河原宏砂の女』、羽仁進「不良少年」、恩日出夫の青春映画など。
 書名になった「映画音楽 音を削る大切さ」より、ハリウッドの映画関係者に語った言葉。
 

 時に、無音のラッシュ(未編集の撮影済みフィルム)から、私に、音楽や響きが聴こえてくることがある。観る側の想像力に激しく迫ってくるような、濃い内容(コンテンツ)を秘めた豊かな映像(イメージ)に対して、さらに音楽で厚化粧をほどこすのは良いことではないだろう。観客のひとりひとりに、元々その映画に聴こえている純粋な響きを伝えるために、幾分それを扶けるものとして音楽を挿れる。むしろ、私は、映画に音楽を付け加えるというより、映画から音を削るということの方を大事に考えている。


 

(平野)「岩田健三郎 原画展」(9.17〜19)の記念冊子を岩田さんが制作、お送りくださった。全32ページ。非売品。あの3日間の出来事(昼ご飯のことや終了後の一杯まで)を詳細に綴っておられる。ご来場の方々への感謝はもちろん、【海】スタッフにも労いのお言葉。こちらの方こそお世話になりました。
 岩田さんの「ヘラヘラつうしん」はこちら。 http://hera-hera.net/info.html
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