週刊 奥の院 9.22

■ 大杉栄 自叙傅』 土曜社 952円+税  解説 大杉豊

 1921年――、『改造』の求めに応じて弱冠36歳で連載を起こすも、関東大震災下の「甘粕事件」により、未完で遺された自伝の傑作。

 書き出し。
 赤旗事件でやられて、東京監獄か千葉監獄へ連れていかれた、二日目か三日目かの朝だった。はじめての運動に、いっしょに行った仲間の人びとが、中庭へ引き出された。半呈形に立ち並んだ建物と建物との間の、かなり広い空き地に石炭がらを一面にしきつめた、草一本はえていない殺風景な庭だ。

 看守部長が、顔と名簿を見くらべて「軍人大杉東」の名前を口にする。そばにいた堺利彦が、「そりゃ大杉君の親爺さんですよ」と答えた。部長は、かつて父君の部下だった。
 自伝は、幼年時代から陸軍幼年学校、中学校、東京外国語大学入学の頃まで。
 少年時代の不良行動、性体験も語る。中学校時代、文学好きで下宿近くの貸し本屋は読みつくし、神保町でも常連。
 大学に入り、授業に退屈。世は日露戦争で熱狂、非戦派だった「万朝報」までが戦争支持になり、内村鑑三幸徳秋水、堺が退社する。大杉は、幸徳・堺の「平民新聞」の研究会に参加する。
 有名な刃傷事件のこと、「お化けを見た話」も。
 こちら。http://www.doyosha.com/
(平野)
 あちこちで紹介されている、荻原魚雷さんの『本と怠け者』(ちくま文庫)をずっと待っているのだけれど、店にない。姿が見えない。いろいろ訊いてみると、どうも発売日は私の休みの日だったようで、ア奴とソ奴とコ奴は買ったらしい。追加が入荷したら紹介いたします。
 営業マンだけど、仕事後回しで本を探すU氏来店。1時間くらい滞在しているのに営業は数分、という御得意様。
 原稿をお願いしている“KURARA”さん(ハートいっぱい)から電話。当然、「いつまでも待ちま〜す」と返事。
 福島からフェア本到着。またニヤニヤしているおっさんです。