週刊 奥の院 9.8

■ 安野光雅』 山川出版社(山川Mook) 2200円+税
 同社から『口語訳 即興詩人』が出たとき、歴史専門出版社と著者が結びつかなかった。同書編集の過程で、安野さんの「これまで随分といろいろな人に世話になってしまったな」の一言から本書につながった。編集者、「では、その方たちに安野光雅を語ってもらいましょう」。
 目次
特集 ふるさと津和野
今日もオジャマ虫  澤地久枝
先生は画家に、生徒は数学者に  藤原正彦
大人ANNO  谷川俊太郎
愛せられしは友なり  森まゆみ
「文学の森」のころ  池内紀
…… 半藤一利、関容子、森ミドリ、野崎昭弘
などなど。それに編集者の方々。画家・絵本作家であり、文筆も立つ。文学作品の編集紹介の仕事も。幅広い人たちが集まる。
 30年ほど前に、初めて安野さんの本を出版することになった「童話屋」(当時は本屋さん)の方が、であいといきさつを書いている。
「安野さんと山川出版社の間で、どういうドラマがあったのでしょう。きっと何か幸せなであいがあったのだろう……」
 山本夏彦さんとの対談(初出『室内』83.1月号)から。

(山)郷里の津和野から、東京へはいつ出てらしたんです。
(安)昭和25年です。玉川学園の学長だった小原国芳さんが私の画を見て、学園の美術講師になれって話があって……小原先生は私のことなどすっかり忘れて、丸二日も応接間で待たされたんです。……二日目の夜にようやくお会いできて、美術講師じゃなくて手不足だった出版部の仕事をさせられることになりました。すぐ辞めてやるぞと思っていました(笑)。

「世界の安野」のスタートはこんなもんだった。本書ジャケットの文字読めるでしょうか。
 子どものころから
 駅前えかきになりたかった
 でも神さまにはたのまない
 そしてある日
 ピエロは
 忽然と都へ
 出ていったのです
 
(平野) 【海】9月はイベント多数。HPをご覧ください。
 http://www.kaibundo.co.jp/index.html
 第11回 海文堂の古本市 9.23(金)〜10.10(月) 9.28(水)は海文堂の棚卸しのため休業。
 http://p.twipple.jp/Vve5X
 2Fギャラリースペース  参加書店 やまだ書店 イマヨシ書店 一栄堂書店 レギュラーに加えて四国から モグラ(徳島)*大間違い、失礼 モウラ(徳島) 古本・あじさい屋(徳島) 讃州堂書店(香川) 古書猛牛堂(愛媛) 瀬戸内の野獣、いや海賊来襲! 讃州堂さんは林哲夫さんのブログでおなじみですが、3店、屋号から見てかなり怪しい。でも怖いもの見たさ? 
 楽しみですが、「女子の古本屋」のかほりが消えてしまう。
 写真は林さんの描いた「讃州堂書店」(「ちくま」09.2月号)