週刊 奥の院 9.1

■ ハンナ・ブランク 『ヴァージン 処女の文化史』 (作品社、2400円+税)を、スケベなおっさんが紹介すると思っているでしょ? 
 期待は裏切る! その代わり、
■ 山崎明子、黒田加奈子、池田玲子、新保淳乃、千葉慶
『人はなぜ乳房をもとめるのか  危機の時代のジェンダー表象』 青弓社ライブラリー

1600円+税
 著者の皆さんは、ジェンダー論・美術史・女性史の研究者。
 乳房の表象。 
 絵画、彫刻、広告、映画、医学書、それにポルノ……。見たい/見たくない、見せたい/見せたくない、いろいろな立場があり欲望がある。また、「見てはならない」という道徳がある。通常隠しておくもの、見せていい空間や状況が限定されている。
 だから私たちが乳房を見るのは、「特定」の文脈が用意されたときだと考えていいだろう。
 乳房から想起するものは、母であり、エロティークな美しい女性。
……母であるという理想や女性たちに重視された「貞節」という概念があり、その文脈で乳房の表象は可視化/不可視化されてきた。母なるものの豊かな乳房は、動植物を育む大地母神の重要なシンボルとなり、崇高な形象として畏怖された。
……(医学では)男性中心的視点でみれば、イレギュラーな部位として好奇のまなざしで、乳房だけが描かれる。
 ポルノのなかでは、「性欲を喚起する王道のパーツとして」。
 フェミニストの芸術家も乳房を描く。「乳房」の歴史的意味を転覆するため、断片化された女性身体の回復のため。

目次
1 男/女の差異化――医学的言説における乳房
2 美の威嚇装置  (乳がん撲滅キャンペーンの恐怖と危機)
3 「聖戦」論理の構築  (戦時プロパガンダと「乳房」のイメージ)
4 都市秩序の再生  (疫病と「乳房」)
5 男性優位のジェンダー秩序の再編/強化  (ポルノに描かれた「乳房」とジェンダー秩序)

 

おっさんは「おっぱ○」好きだった!? 過去に何度も紹介している。
(平野) うちの美人妻が、「どうせHな本ばっかりやろ!」と言う。
 ブログを見ているのかと問うと、
 「見んでもわかる!!」
 妻は何でも知っている。