週刊 奥の院 8.10

■ 江弘毅 『「うまいもん屋」からの大阪論 NHK出版新書 780円+税
 元『ミーツ・リージョナル』編集長。現在、編集集団「140B」責任者。
 内田樹さん曰く、「江弘毅は大阪のヘミングウェイだ(食べ物描写限定)」。
目次
1 ミナミ――最も大阪らしい「街場」と「うまいもん」のスタイル
・カウンターの店から、大阪的「うまいもん屋」に入門する
・「ごっつぉ」としてのミナミの洋食
・ミナミという街そのものとしての喫茶店
・「ややこしい」場所に名門バーがあることについて
2 キタ――大ターミナルと北新地の「大阪的」
・梅田大ターミナルの「酒屋の立ち呑み」
・梅田大ターミナルと串カツ
・高級歓楽街の「うどん屋
・北新地の「クラブ」というところ
3 船場――店に見る「船場らしさ」
・「うまいもん屋」にこそ残る「船場
・「普通のうまいもん」がうまい街
4 大阪24区――「駅ごとに違う街」の違い方
5 北摂・芦屋――大阪が作った郊外と大阪人DNA
6 京都――「独特」に凄む「京都らしさ」
7 神戸――「港町人」気風の開かれ方と軽やかさ

……大阪の「街場」では食事するにも酒を飲むにも「行きつけ」や「馴染みの店」に通っている。
……自分はあくまでも「実名的な存在」であり、どんどんその街で知り合いを増やして、街のコミュニティの一員として入っていく。
……(店も)一見さんでもなじみのように扱ってくれる。そこにコミュニティ的な「地元意識」が生まれる。店も客もそのような「大阪人」だという前提があり、聞けばお互いに近くには住んでいない。だから大阪という街場は面白いのだ。
……家族が解体され希薄になった血縁、そして従来のムラ型の地縁、会社共同体といったものがすでに過去のものとなったこの時代にあって、人と人とがどう楽しく関わり合いを持つかの「知恵」や「現場作法」を「大阪のうまいもん屋」を通じて考えてみたい。

 有り難い友人がおりまして、競馬で勝つとミナミや船場でご馳走してくれます。しばらく呼んでくれないのは、きっと負けてばっかりなのでしょう。
「馬、走れ!」と言うてもなあ……。

(平野)郄田郁さん新刊、『心星ひとつ  みをつくし料理帖』 ハルキ文庫 590円+税
 本日10日発売。 サイン入りです。これまでと一味ちがうサインというか、新スタンプです。いつものように「当たり!」が混入しています。といっても、もう1冊もらえるとかの特典はありません。ただ「当たり!」というだけ。
 私もサインしていただきました。