月曜朝礼 新刊紹介

【文芸】クマキ撰
■ 山田令南 『癌だましい』 文藝春秋 1143円+税 
(帯) 文學界新人賞受賞の衝撃作 著者はその10日後、世を去った
 1958年岐阜県生まれ、岐阜大学医療技術短期大学看護学科卒業。本年5月「癌だましい」で第112回文學界新人賞。受賞第1作「癌ふるい」脱稿後、5月19日逝去。本書に2篇とも収録。
 著者は末期癌だった。積極的治療を受けず、病状・食べることの欲求をそのまま書いた。
 

 涎まみれで目が覚めた。蛍光灯の豆電球だけがつく六畳間だ。眠っている間中、食道の狭窄部より先へは下りていかない唾液が逆流し、口もとから溢れる。枕に被せたタオルは濡れ、顔も髪もベタベタだ。荒い呼吸をしながら麻美は手を伸ばし、別のタオルを取って口の周囲を拭った。吐く息が白い。……
(食いて、腹減った。エビチリ、うまかったなあ。プリプリのエビにチリソースがきいて、ギョーザ、シユーマイ、クリームコロッケ……)
 最後に食べたのがいつだったか記憶はおぼろになっている。食べたといってもその時すでに、狭窄部より先へ食物は下りていかなかった。……

【雑誌】アカヘル撰 新扱い
■ 『IN THE CITY』 01号 02号 ビームス 各1000円+税
 ファッションメーカー「ビームス」が出版。
“新感覚文芸カルチャー誌” 
 01号 「サマーレイン 2010.10月刊
片岡義男 「カタオカ 東京」  写真、詩、インタビュー
短篇小説 星野智幸阿部和重、川崎大助、桜井鈴茂
 02号 「ペーパーカップ一杯の禅」 2011.4月刊
筒井康隆インタビュー 「我が原宿、NOW&THEN」
大原ケイ 「ブルックリンルネッササンス」
短篇小説 原田マハ中原昌也片岡義男黒田晶、川崎大助 
 表紙イラスト エイドリアン・トシネ ブルックリン在住、日系4世。04年から『ニューヨーカー』の表紙担当。 
  

01号の【はじめに】より 

 

 ipodから流れてきたナンバー。心地いいカフェの一杯のカプチーノ。ありふれた日常は、ほんのちょっとしたことで、見違えるように変化します。あなたの中でだけは――そんな文芸作品を、ここに集めました。
 かつてカポーティフィッツジェラルドが、都市を舞台に珠玉の名作を生み出したように、ここ東京にも、語られるべき言葉や物語が無数にあるはずだと、わたしたちは感じています。……



















【海事】ゴット撰



■ ジェイムズ・ドッズ ジェイムズ・ムーア 渡辺修治訳

 『図説 英国の帆船軍艦』 原書房 
3800円+税
 





 1995年初版の新装版。 
 17〜18世紀ヨーロッパ各国は、植民地獲得競争・貿易拡大のため制海権争い。商船だけでなく海軍力も増強した。
 イギリス海軍は1760年大型帆船〈サンダラー〉を完成させる。造船所、資材調達、設計、建造、装備、さらに活躍から最期までの記録を、貴重な文献・海軍資料から紹介する。〈サンダラー〉地中海艦隊、イギリス海峡艦隊、ポーツマス港防衛、大修理後、80年西インド諸島に向かう途中、ハリケーンに遭遇し沈没。
 著者、ドッズは美術家で船大工の資格を持つ。ムーアはヨットマン歴40年の作家。

■ 橋本徳壽 『日本木船圖集』 海文堂 1500円+税 (B4版横開き 布張り 鋲留め 123ページ)

  
 在庫僅少本放出。昭和31年10月初版。まだ社名「海文堂」で、神戸に出版部門があった時代の本。著者は、明治27年生まれの造船・設計技士。戦前は造船講習会で指導。戦中は南方戦線。復員して技士、農林省運輸省の木船関係の委員。歌人でもあった。
 日本最初の西洋流造船「君澤形」をはじめ、漁船を中心に、軍艦・捕鯨船・客船からモーターボート・ヨットまで、109隻の図集。
(平野)【クマキ】撰で「新書」1冊あるのですが、私が用意しているのと重なっています。明日アップします。
nobusukeさん、暑いなかご訪問いただきありがとうございます。“ビジュアル系”、最近はF店長に奪われている感じです。