週刊 奥の院 7.14

■ クリストフ・ナイルード シドラ・房子訳
『ヌードルの文化史』 柏書房
 2800円+税

麺の源流とこれからについて。
著者はスイス生まれのジャーナリスト、07年から南ドイツ新聞東京支局長。夫人は中国人。
著者の説では、麺類の起源はイラク、シリア、アフガニスタンあたり(地図で見るとイラクが抜けているが)、アラビア圏らしい。旅行者の携帯食だった。ということは、現代のカップ麺という形態は正統な継承・発展である。
遊牧民によって広まり、中央アジア、中国。アラビアが地中海を制覇してイタリア、スペインにも。イタリアからアルプスを越え、保存食として発展する。
中国で最古の記録は漢の時代(紀元前202〜220)だが、05年に4000年前の遺跡から麺が発掘されている。
中国から朝鮮、日本や東南アジアに。中央アジアからロシア。アメリカには19世紀にヨーロッパ移民たちから、“麺”後進国なのさ!
序 ヌードル四千年の歴史
1 ヌードル文化九つの舞台  世界の麺料理の歴史
2 麺と小麦  小麦の起源ほか穀物
3 ヨーロッパのヌードル  パスタの歴史
4 アジアのヌードル  日本、シルクロード、餃子、ラーメン
終 ヌードルを超えた食文化

 安くて、うまくて、早くできて、家庭でも作れる。世界各地にそれぞれの気候・風土に合った麺料理がある。簡単で素朴なのだけれど奥が深い。小麦・米・そば、生麺・乾麺、出汁・ソース・具、熱い・冷たい、朝飯・昼飯・おやつに晩飯・夜食、鍋の締め、酒の後の締めに。もうオールマイティー
 アメリカの元気姉ちゃん“ガガ”さん、日本の麺類が大好きだそうで、駅の立ち食い店にも堂々と入る(週刊誌ネタ)。
 国際線の機内食でもカップ麺が出るらしい。インスタント麺は2010年全世界で一千億個消費と推定される(また伝聞情報ばかり、すまん)。まさしく“人類は麺類”であります。
 本書、挿絵がたくさん。カラーでとても楽しい絵。

 また、アホ告白。本書の「」が見えなかった。思わず興奮した。
「ビール」の「」は見えるのに、本書の「」はすっ飛ばした。
 嗚呼、おっさん、アホか〜!?

 アホついでに、サイモン・ブラックバーン『哲人たちはいかにして色欲と闘ってきたのか』 (築地書館、1500円+税)を紹介したいのだが……。
(平野)神戸の「下町レトロの会」が紹介されています。昨年12月刊行の『おかんアート』(1500円税込)、下町の母たちの手作り作品を集めている。当店、ほぼ独占販売中。秋にはイベント開催できそう。またギャルたち(レトロな)で賑わうこと必至。
 http://www.kobe-np.co.jp/news/kobe/0004265391.shtml