週刊 奥の院 6.18


■ 渡辺京二=著 小川哲生=編 三浦小太郎=解説
『維新の夢 渡辺京二 コレクション(1)史論』 ちくま学芸文庫
 1500円+税 全2巻
 著者は1936年京都生まれ、熊本在住の歴史家。編集者、予備校教師をしながら研究・執筆。73〜92年、石牟礼道子らと同人誌『暗河(くらごう)』発行。
 著作では、幕末に日本に滞在した外国人の文章をもとに当時の日本を描いた『逝きし世の面影』(98年葦書房、現在・平凡社ライブラリー)で有名。昨年『黒船前夜』(洋泉社)が大佛次郎賞受賞。
 カバーの解説より。

『逝きし世の面影』の著者渡辺京二は、日本近代史の考察に、生活民の意識を対置し、一石を投じてきた思想家である。その眼差しは表層のジャーナリズムが消費する言説の対極にある。本書には、西欧的な市民社会の論理では割り切ることのできない大衆の生活意識にわだかまる「ナショナル」なものを追求した「ナショナリズムの暗底」、明治国家への最大の抵抗者としての西郷隆盛を常識的定説から救抜する「逆説としての明治十年戦争」、北一輝と日本近代の基本的逆説の関連を問う「北一輝問題」など、日本近代史を根底から捉え返すことを試みた論考を集成する。

 石牟礼さんと渡辺さんについては、17日の朝日新聞夕刊記事を。http://www.asahi.com/jinmyakuki/TKY201106170317.html
(平野)
 ネット新聞「神戸経済新聞」に“女子の古本市”紹介されています。http://kobe.keizai.biz/headline/802/