週刊 奥の院



荻上チキ
1.『セックスメディア30年史』 ちくま新書 820円+税
2.『検証 東日本大震災の流言・デマ』 光文社新書 740円+税
 
 著者、1981年生まれ、評論家・編集者、メールマガジン「αSYNODOS」編集長。

1.1980年代から2010年までの“セックスメディア”の変化を分析。性風俗同時代史。
「この時代を生きた者の一人として、自分が目にしてきたセックスメディアの変化について『証言』を残す」
「メディアの移り変わりの背景にある要因を包括的に考察、特にケータイやインターネットの登場がセックスメディアの総体をどのように変えていったのかを描く」
○いかにして出会い系は生まれたか?――電話風俗篇  電話史、テレクラ、伝言ダイヤル、ケータイ普及、『じゃマール』と「出会い系」の誕生 他
○変化するウェブ上の出会い――出会い系サイト篇
○何がエロ本を「殺した」か?――エロ雑誌篇
○「エロは無料」の衝撃――アダルト動画篇
○性と快楽のイノベーション――大人のオモチャ篇
○変わり続ける性サービス――性風俗
 私、3番目しか読めるところ(理解可能)ありません。

2. 東日本大震災後1カ月間、チェーンメールやウェブ上で広がった流言・デマを検証する。
「注意喚起として広まる」 3時間後に最大の揺れが来る。有害物質の雨。外国人犯罪。水を飲むな。東京から家族を逃がせ。他。
「救援を促す」 ニセSOS。自衛隊が救援物資を募集。献血放射能にはヒマワリ。寄付。
「救援を誇張」 オバマ演説。やんごとなき方々の避難(私も営業マンから聞いた)。消防隊長のコメント。政治家モノ。他。
「その他」
 本書を「予防接種」として、将来の流言・デマに騙されにくい「身体」を築くために役立ててほしい、また対処法に。拡大しない環境づくりについても考察。
 流言・デマでも「無害」なものもある。「しかし小さな流言にすら気づけない人というのは、大きな流言にも騙される可能性がある」。大天災・大事故の被害の最中に、流言・デマ・風評という「内なる敵」=人災にも立ち向かわなければならない。鵜呑みにしないためには、あたりまえのことだが、「内在的チェック」=疑うこと、「外在的チェック」=確かめることが大切。
 流言・デマがどのように生まれ、どのように広がるのか、どうすれば真偽を確認できるかを解説。騙されない・広めないための基礎知識。



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(平野)