週刊 奥の院

沖森卓也笹原宏之・常盤智子・山本真吾 『図解 日本の文字』 三省堂 2000円+税

 表意文字=漢字。起源、書体、字体、部首、音訓……。
 表音文字=仮名。ひらがな、カタカナ、万葉仮名。
 ローマ字も使う。ローマ字の歴史、綴りの変遷の説明だけでもたいへん。
 補助符号というのもある。漢文訓読のための記号に、濁点、半濁点、句読点など、きまりがある。
「見せ消ち(けち)」というのをご存知ですか? 使ってはいても名称までは知らなんだ。書写で間違い箇所を取り消す斜線・二重線のことだそう。
 他に、表記法――仮名遣い、送り仮名・振り仮名、外来語、印刷、書道、文字遊びも紹介。
 難しいつくづく思うこの言葉 わてはほんまに日本人かな?

荒木経惟 『天才アラ―キー 写真の愛・情』 集英社新書ビジュアル版 1100円+税

 この本はね、オレの愛と情の塊ってことでいいんじゃないの。まぁ、それを簡単に言うと「愛情写真」ですよ(笑)。写真っていうのはさ、やっぱり愛情をもって撮んないといけないのよ。ひとを見るとか、ひとのことを撮らせていただくっていうのは、そういうことなんです。
 いまの写真っていうか最近の写真って、写真にとって大切なことを忘れてるんじゃない? 感情とか情感とかを断ち切って、ぱって表象っていうか表面、うわっ面のところをフラットに撮ってるっていう感じがするわけですよ、ちょっと偉そうに言うと。だから、つまんないってアタシは思ってるんだけど。
 汗かいたり、涙を流したり、ねぇ、熱っぽくなったりして撮らないと、写真は。そ〜ゆ〜のがいいんじゃない。そういうことを強調するために使う道具っていうかメカニズム、機械、それがカメラということじゃん。
 だからさぁ、電子書籍だとか携帯電話だとか、そういうものがどんどんでてきたのは案外悪いことじゃないのよ。水分がなくなってカラカラに渇いちゃったらどういうことになるかっていうことに、いまに気づきますよ。熱っぽくっていうんじゃないけど、汗かいて夢中になることが恥ずかしいことでも格好悪いことでもないってことに、いまに気づきますって。そういうことが本当に大切だってことに。

 父母、妻、猫、それに町並み、子ども、女……、空。

 やっぱり私小説だねぇ。よくでてるよ、自分っつうか、アタシのことが。実は、それしかないもんね、アタシの場合。

 全91枚。
 

 まぁ、アタシは70歳で北斎より少し早めだけど写狂老人Aになりますよ。卍、ね。照れてるわけじゃないけど、もう死期は近いんだから(笑)。老いた……というんじゃなくて、積極的に老いるの! 負け惜しみじゃなく、さぁ。「愛情写真」でいきますよ、どんどん。

 愛情、伝わってきます。
 (平野)亡き妻に愛と情を捧げおり 空に描いた「1・2・3・死」