月曜朝礼 新刊紹介

【文芸クマキ】
『完全版 池澤夏樹の世界文学リミックス』 2800円+税
 『セレクトバージョン 同』        1400円+税 河出書房新社



 池澤夏樹個人編集『世界文学全集』全30巻完結。「各巻を粛々と刊行する一方で援護射撃」を自らが「夕刊フジ」に3年間連載した。販売促進が世界文学入門書になった。
 第1回のケルアック『オン・ザ・ロード』について。

 男たるもの、逃げてはいけない。
 踏みとどまって最後まで闘わなければいけない。
 名誉のため、妻子の幸福のため、会社のため。
 戦いは長く続く。
 ……
 誰もが同じようなことをしている時に、ぜんぜん違うことをする。そして文学というのはそういう奴のことを書くのが得意だ。
 ケルアックという作家がいた。代表作が「オン・ザ・ロード」。語り手はサル・パラダイスという名の若い男で、こいつにディーンという友だちがいて、こっちの方が生まれつき逃げるタイプ。サルはこの友だちに引っ張られて一緒に逃げる。
 ……

 続いて、「逃げるアメリカ少年『キャッチャー・イン・ザ・ライ』」「更に逃げるアメリカ男『武器よさらば』」「最初に逃げるアメリカ少年『ハックルベリー・フィンの冒険』」と続く。
 バルガス=リョサ『楽園への道』では、「ゴーギャン」に関する本を次々に紹介する。
 泉のように本の話が湧き出てくる。
【児童・教育】
荻原真 『なぜ宮崎駿はオタクを批判するのか』 国書刊行会 1500円+税


 著者、1958年生まれ、思想史研究。宮崎作品に表れる〈共生〉の思想――自然と、多民族・多文化と、障害者と、男女、老若、機械と、死者と――を読み解く。
【2F 海の本】
盛口満 『おしゃべりな貝 拾って遊ぶ海辺の環境史』 八坂書房 1900円+税

 1962年千葉県生まれ。沖縄大学准教授、生物学。『ぼくのドングリ図鑑』(岩崎書店)『僕らが死体を拾うわけ』(ちくま文庫)他、著書多数。
金田禎之 『さかな博学ユーモア事典』 国書刊行会 2000円+税
元全国釣船業協同組合会長。さかな、漁業とその法律に関する著書多数。

『ほんまに』13号 発売遅れ
4.20を目指すも1日遅れます。特集「中島らもの書庫」。表紙モデルはATG(明日本テキトーガールズ)Nさん。http://twitpic.com/4m9xck
◇NR出版会の「新刊重版情報」に寄稿しました。が、社会派NRと喜劇派平野の組み合わせ、今回ちょいマジメになりすぎて窮屈かも。すべて私が悪いのです。“くらら”に罪はござんせん!
 http://www006.upp.so-net.ne.jp/Nrs/memorensai_10.html
(平野)