週刊 奥の院

◇久々の　もっと奥まで〜

■花房観音　『花祀り』　無双舎　１６００円＋税
第１回団鬼六賞大賞受賞作！　選考委員、団鬼六・重松清・高橋源一郎・睦月影郎。
　著者は、兵庫県出身、京都在住。京都女子大中退、映画会社、旅行会社を経てライター。ＡＶ巨匠・代々木忠監督のドキュメント映画のスタッフも勤めた。
　ブログはこちら。http://d.hatena.ne.jp/hankinren/
　お話。美乃は学生時代、京都の老舗和菓子屋で厳しい修業（和菓子も性も）をした。今は東京で活躍中。カルチャースクールの生徒由芽は良家の子女。その結婚話を聞いた美乃は彼女を京都旅行に誘う。かつて自分が教えられた“あの世界”に由芽を引きずり込む。

和菓子は、男を悦ばす女の身体に似ている。
餠や求肥に餡に団子、どれも舌触りや感触が柔らかで、香りは淡くて品がある。
こんな官能的な食べ物はない――
和菓子を味わうように、私の身体を舐める「老舗」の主人はそう言った。

（平野）