新年読書1冊目。

■年も押し詰まった某日、後藤正治さんがご来店。09年刊行の『奇蹟の画家』(講談社)と11月新刊『清冽 詩人茨木のり子の肖像』にサインをお願いした。
 私、『奇蹟〜』はサイン本を所持している。『清冽』は出てすぐに購入して、本は家。んー、残念。
 正月、妻の実家に向かう電車内で『清冽』を読み始める。正月用に取っておいた1冊。
 茨木の遺体発見の箇所で思わずジンときてしまう。06年2月17日に異変が起き、翌日発見された。

 関係者の話、警察の捜査、解剖結果から、後藤は推測する。
 

――十七日午後の時間帯。郵便物を手に階段を上がって居間に戻ろうとしたさい、脳内に異変が起きた。茨木は倒れ、頭部を打った。痛みをこらえて出血をぬぐい、ベッドに横になった。その程度の手当てができる異変であったが、その後、脳内に第二次の異変が起きて息絶えた、と。
 最初の異変が起きたとき、応急手当てをしてベッドに潜り込めたほどであるから、一一九番にも電話をできたはずである。茨木は我慢強い人だった。迷惑をかけるのが嫌だったのか、横になっていればやがて治まると思ったのか、あるいは電話をする間もなく第二の異変が起きたのか・・・・・・。それは不明である。

 死去の3ヵ月前に、近しい人に送る「別れの手紙」を用意していた。
(平野)