週刊 奥の院 第88号+1の2

春画



 あけましておめでとうございます。
 新年早々「浮世絵」の話ですが、丸谷才一さんのお話ですから高尚です。
 岩波書店の『図書』1月号、丸谷さんの「無地のネクタイ9 春画のことなど」から。
 

二〇一三年といふから今から二年後、大英博物館で日本のエロチック・アートの大規模な展覧会が開かれる。ジーナ・バックランドの著書『春画はそれに先立って、昨年大英博物館から刊行されたもので、矢野明子訳(平凡社)といふ形でわれわれはいち早く読むことができる。

 バックランドによれば、西洋の「ポルノグラフィー」と日本の「春画」は別物。「春画」は優雅で洗練されていて、これは性についての態度の違い、だそう。日本社会の寛容さ、性の視覚化を重視した文化に対して、キリスト教の戒律による「性の抑圧」、その結果「ポルノ」は反社会的・危険とみなされた。
 日本でも浮世絵は抑圧され、規制された時代があった。美術研究でも無視された。
 大英博物館まで行けないので、本で見ましょ。『春画平凡社 3800円+税 右上写真。
(平野)