人文・社会 『NARASIA 日本と東アジアの潮流』&『消えた横浜娼婦たち』再び。

 ■『NARASIA 日本と東アジアの潮流』(監修)日本と東アジアの未来を考える委員会 (編集構成)松岡正剛丸善 1800円+税
 平城遷都1300年記念出版だが、記念事業・出版とも松岡正剛氏とスタッフが加わっているからして、単なる「記念」で終わる訳がない。
 「平城京の歴史案内」「古都奈良」「日本の1300年」にこだわるのではなく、「東アジアとの関連のなかでの日本と奈良の意味を位置づける」もの。
 タイトルからして「NARASIA」、何と読むのかと思ったら「ならじあ」のルビ。私ぁ「なら・あしあ…?」と思うてもた。「NARAとASIAがプラス・アルファとしての『A』を互いに共有することを象徴したもの」。シリーズ全3冊の予定。
 東アジア各国の政治経済状況、六ヵ国協議の難航、金融危機による景気低迷など、明るい未来はない。しかし、東アジア共同体構想や自由貿易協定など広域結合の可能性はあるらしい。情報ネットワーク、商品市場、文化・学術・技術開発の交流、環境・災害・医療問題など、アジア全体で連携していかなければならない。「NARASIAはじっとしていられない」。日本と東アジアが何を共有し、何に妨げられているのか? 1300年前に東アジアとの連動で生まれた平城京日本の果たすべき役割はどこにあるのか? 時空をまたいで歴史と文化、政治経済、事件と意匠をビジュアルかつポップに展望する。
 chapter 1 奈良と東アジアを編集する――西暦710年と2010年を見開きで比較。例えば、中宮寺の菩薩半跏像とインドの女性がケータイをかけている姿、「未来仏の弥勒ネットワークがシルクロードを超えて日本に届く」「ケータイはアジアの言語圏のコミュニケーションをつなげているか」など――1300年という時間の不思議なつながりを見せる。
 chapter 2 日本と東アジアの1300年を見る――大仏開眼から北京オリンピックまで1300年の流れを5つの時代に分け眺望。
 chapter 3 日本と世界の未来を感じる――現在の課題とネクスト100年への予言と警告、未来に向けた「弥勒プロジェクト」。

 ■『消えた横浜娼婦たち』の著者檀原照和さんから紹介のお礼メールをいただいた。紹介といっても、書名と帯の文句を引用しただけなのに、こちらが恐縮する。檀原さんのブログはこちら。http://yokohamamerry.jugem.jp/
 檀原さんの8年に及ぶ調査・研究の成果です。本屋関係者は見てください。ぜひ、本、仕入れて売ってください。データハウスのHPはびっくりします。いきなり、新刊『おっぱいの愛し方』ですから。元気があって、よろしい。 
 (平野)