週刊 奥の院 6.3

■ 井上章一編 『性欲の研究  エロティック・アジア』 平凡社 1800円+税 

 カバーは、上海カレンダーガール(上海中法大薬房のポスター、1930年代)。



(帯) 

国際紛争なんのその、エッチな思いは国境を越える
日中韓、スケベ目当ての交流100年史


対談
○西のエッチ 東のエッチ  鹿島茂×井上
○上海モダンの風俗事情――ソープランドからチャイナドレスまで  井上×劉建輝
論文
○中国の女装の美少年「相公(シャンコン)」と近代日本  三橋順子
○日中おまた事情――性器から読み解く理想像 男性器編  梅川純代
○整形美人と新儒教精神  申昌浩
ハルビン紀行の日本人――大日本帝国の欲望と、裸になったロシアの女たち  井上
文献紹介
○自瀆、道徳改良、性病商売――『オナニア』(一七一六)の諸源泉とその歴史的文脈に関する考察(上)  ミハエル・ストールベルク、斎藤光
コラム
包茎とチンポ国粋主義  澁谷知美
○評論と猥褻――大宅壮一をめぐって  阪本博志
○世界のクスシロはこうして浮上した  小川順子
野原しんのすけに狼狽する大人たち  小泉友則
○女を犯しシャカのこころをしる  平松隆円
○「乳」と「おっぱい」  井上
○「あの研究会」  川井ゆう

 昨秋、中国で各地で領土問題から反日デモ。暴動にもなった。さまざまなプラカードの中に、「釣魚島はわれわれのもの、蒼井そらはみんなのもの」というのがあるとの情報。井上は上海に渡って自ら確認した。「蒼井そら」は日本のAV女優で中国でも人気がある。

……
 日本はきらいだが、彼女は好きだという。セクシュアルなあこがれは、排他的な国家主義をのりこえることがある。そんな可能性をまざまざと見せつけるスローガンではあった。
 中高年の読者は、ごぞんじだろう。一九五〇年代末に、日本人の反米感情が高揚したことを。そして、おぼえておられると思う。アメリカの帝国主義を批判した当人が、たとえばマリリン・モンローにときめいていたりしたことを。キンパツのストリップで、よろこんでいたことを。
 われわれは、しばしば時代の波にながされる。歴史の大きな流れに翻弄されることがある。しかし、性的な想いにかぎれば、その奔流にのみこまれないこともないわけではない。そして、そこへ目をむければ、一般的な歴史とはちがう、まったくべつの歴史像もうかびあがってくるのではないか。……

 まじめに「パンツ」やら「おっぱい」やら「××」を考える「関西性欲研究会」のみなさん。女性率高し。

(平野)
 私、好きだから紹介する。