週刊 奥の院 5.3

今週のもっと奥まで〜
■ みうらじゅん 『やりにげ』 新潮文庫 490円+税 
1995年ぶんか社、2001年新潮OH!文庫。
身も蓋もない体験的エロ話。「いやらしくも切ない性の放浪記」。
笑点の女」
 飲み屋で映画の話が盛り上がる。ボクはただ彼女の話に相づちを打ち、「会話がどう転んでも対処出来るよう、叫んで」いるだけ。彼女は大喜びしている。

……
 彼女はインテリぶっていて、私のまわりはみんなバカだからと思い込んでいたため、ボクが単に調子を合わせてることすら気づかなかった。
(ボクが好きなのはアクション映画にピンク映画)
「今日は、なんだかすごくうれしい!」
 彼女は僕をインテリ仲間と勘違いしているのだ。
(話がはずんで彼女の部屋でビデオ鑑賞、彼女が選んだのはフランス映画『鬼火』)
……
 映画は予想通り、ものすごーくかったるく始まった――
 しばらくして、いや、時間の経過は全く分からない。
「大丈夫? ねえ、酔ってんの」
 と言う彼女の声が遠くかすかに聞こえた。
(熟睡、目覚めたのは翌日夕方)
 僕は寝ボケた振りをして彼女の体を引き寄せるとキスをした。
 彼女の昨夜の意図は全く読めなかったが、スムーズにキスを受け入れたところを見ると、やはり『鬼火』はフェイントだったのだろうか?
 そのままボクは彼女の上に乗り、肩、首筋、そして服を脱がし胸のあたりに……。
「あ…あっ…あぁーん……」
“てめぇー、何が『鬼火』だ! ……おしゃれな映画で、そんなセリフがあったのか、え〜〜!!
 ボクは一気に……
 その時である!!
 なんとつけっ放しにしてあったテレビから、
「パンパカ フゲフゲ ケッケ〜〜♬」
 この部屋に、そしてこの行為に思いっきり似合わない『笑点』のテーマ曲が流れだしたのだ。
「パンパカ フゲフゲ フェフェ〜〜パフ♬」
 ボクはパンパカフゲフゲ♬ に合わせて腰を振る自分を馬鹿だと思った。

 こんなん書き写しているワテはもっと……、ああ、おっさん、アホか〜!



◇ うみふみ書店日記 その18
 4月25日 木曜
 昨日と打って変わって晴天。午前中小一時間用事ついでに散歩。通勤途中の同僚が遠くに見えた。
 帰宅後いつもの「奥の院」とブログ準備。家事も進む。
 夜、吾郎ちゃんのツイッターを見ると、【海】についてニュース。小説に登場するのと、地元絵師のサイン会が決まり。

 4月26日 金曜
 イベントの都合でいつもより早くPR紙「海会」出来。
 雷がどっか〜んと鳴っていた。黄金週間は土砂振りか? 
 定時退社後、セーラ編集長&吾郎ちゃんとお茶。本屋のお話。
 イベントは、
海洋船舶画家 高橋健一の色鉛筆混成画展〜瀬戸内の客船たち〜 
5.3(金)〜5(日) 2Fギャラリースペース 入場無料 

 
4月27日 土曜
休みを取って3連休に。
近近親戚の結婚があって、妻準備。
午後、西宮で「志らく喬太郎」落語会。立川流落語協会だが、「五代目柳家小さん」孫弟子、同い年。大学余分に行って、書店員してから入門した喬太郎師匠が後輩。志らく「紺屋太夫」、喬太郎「午後の保健室」と「井戸の茶碗」、大爆笑。
「朝日」夕刊、松本清張『日本の黒い霧』の「伊藤律」の章、スパイ説に遺族抗議。文藝春秋は修正注釈をつけることに。

 4月28日 日曜
妻の実家の墓参り。
「朝日」記事、佐野洋死去、84歳。

 4月29日 日曜
堪忍袋がついに……。本ほか、お片付け、掃除。
ウクレレ漫談・牧伸二死去。

 4月30日 火曜
ミシマ社HPで仙台ロフ子さんの連載開始を知る。『サンデー毎日』も楽しみだし、ドンドン書いてちょうだい!

 5月1日 水曜
寒い5月。通勤途中、コート・毛糸帽子・顔面隠しの男性を見かけた。
山口県周防大島の出版社「みずのわ」から電話。神戸の「みずのわ」でなくなったことはいまだに寂しい。
「朝日」夕刊、『大草原の小さな家』ローラ・インガ・ルスワイルダー宛の日本人女性の手紙発見。1951年7月、福岡市「カヤノ・ミチコ」さん、当時14歳。『長い冬』の感想で始まる。

◇ 先週のベストセラー
1.村上春樹  色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年  文藝春秋
2.マーク・ピーターセン  実践 日本人の英語  岩波新書
3.梅原猛   人類哲学序説  岩波新書
4.百田尚樹  海賊と呼ばれた男(上)  講談社
5. 同上           (下)    
6.      神戸ルール 中経出版
7.近藤誠   医者に殺されないための47の法則  アスコム 訂正「法則」ちゃいます。「心得」です。
8.海老坂武  加藤周一  岩波新書

9.大石英司  米中激突5  中公ノベルス
10. 東野圭吾  夢幻花  PHP研究所

(平野)