週刊 奥の院 4.29
■ 『こころ』Vol.12 平凡社 800円+税
特集 自伝・評伝を愉しむ――「人間」を読むこと、書くこと――
対談 西木正明+梯久美子 「人間」を描くということ――小説とノンフィクションのあいだ
実在の人物のことを書く――プライバシーに踏み込むこと。
(西)……自分が書こうとしている人物、物語の中心にするような人間に対しては、ちゃんと惚れていないと書けません。三十数年こういう仕事をしていて、あるときから自分に言い聞かせているのは、「絶対に自分を安全地帯において仕事をしない」ということです。これだけは肝に銘じている。そうでないと、ろくなことにならない。卑怯なことをやりかねないしね。
(梯は島尾ミホの評伝に取り組んでいる。本人に了承をもらったが、途中で断られた)
(梯)一度はあきらめたのですが、ミホさんが亡くなってから数年が経って、自分が調べてわかった新たな事実や、新資料が出てきたりして、やっぱりもう一回書きたいと思ったときに、編集者が遺族を紹介してくださった。
遺族には正直に、生前ご本人から断られたんだけれども、もう一回書きたいという話をしたら、「わかりました。綺麗ごとにはしないでくださいね」とおっしゃっていただいて。こういう遺族はなかなかいらっしゃらないですね。
◎ 人物を描くときの礼節 保阪正康
◎ 私の本棚から――自伝・評伝の図書館 浅見雅男 鹿島茂 中田整一 武藤康史 河合香織
鹿島 どんな「ドーダ」に焦点を当てるか
著名人の自伝の「ドーダ」に焦点を当てる。
ルソー――赤裸々ドーダ フランクリン――発明・発見ドーダ 福沢諭吉――偏見のなさドーダ 高橋是清――切り抜けドーダ 大杉栄――自由ドーダ アンデルセン――ダメ・ドーダ
それぞれの内容は読んでちょうだい。
◇ 全国新聞社 ふるさとブックフェア 各社の本紹介 その6
■ 京都新聞社
おすすめは、
『古民家探訪』 1600円+税 京都滋賀に残る伝統建築24軒。
『湖国のモダン建築』 1400円+税 明治から昭和初期の建築67、ヴォリーズ建築19。
■ 奈良新聞社
こちらも負けない静かな古都の佇まい。
安達正興『宇宙菴 吉村長慶』 3400円+税 幕末、奈良町に生まれ、数々の石造物を遺した奇人。宗教家でもある。
松尾文隆『古代大和は宇陀から始まった』 1905円+税
(平野)
本日の「朝日歌壇」より。
盛大にくしゃみいっぱつ響きたり立ち読み多き真昼の書店 仙台市・江川さん
新入生は本屋の立ち読みまだ慣れず店番われもあしらひかねし 長野県・沓掛さん