週刊 奥の院 4.27

■ 『人類滅亡を避ける道 関野吉晴対論集』 東海教育研究所 東海大学出版会 1800円+税 
 関野は探検家で医師。人類がどこで誕生し、なぜどのように移動、拡散、適応していったかを探る旅〈グレートジャーニー〉他、自然と一体になって暮らす人々と生活を共にしてきた。
……現在の文明は、古代文明のような限られた地域の文明ではなく、「世界文明」である。その文明が病を抱えていることは、もはや誰もが認めるだろう。
 環境、人口問題、食料・エネルギー不足、原発……、人類存続の危機。文明崩壊を回避するには? そのヒントを、太古の人の暮らしと同様、狩猟や遊牧、原始的な焼き畑などをして暮らす人々の姿にあると、考える。自然を利用しつつも破壊せず、自然の一部となり、持続可能な暮らしを続けてきた。

山折哲雄  それぞれの風土が育ててきた基層の文化に立ち返れ!
池内了  よりよい未来にじっくり近づいていこう
船戸与一 「闇なき世界」に未来などあるのか?
藤原新也  世の「毒」を食らった若者にこそ可能性がある。
池澤夏樹  草食男子の静かな暮らしが「人類生き残り」の戦略となる?
山極寿一  ゴリラ社会の“負けない論理”に学ぼう
他、井田茂、島田雅彦服部文祥

(山折) 私の感覚ではこの数年、過去から未来に通じる歴史のなかで、知識人や科学者、文化人というのが、もっとも無責任な人種なんだなと痛感する出来事が増えました。ですから、これからどう生きるかを考えるうえでも、知識人や文化人の語る無責任な言葉を信用しないのが一番なのではないでしょうかね。とくに三・一一の震災以降はそれを強く感じます。

「移動する人間とは何か」について対論。

(山折)自ら生まれ育った国を飛び出す人もいれば、戦争や飢餓で移動せざるを得ない人もいる。原発事故の被災者は、戻りたくても戻れない。東京の人間はほとんどが移動してきた人間の子孫。
移動する人間の歴史を考えないと、都市も芸術も宗教も、そして未来も語れない。いまこそ根本的に、移動する生活様式から何かを学ぶ必要がある。

◇ 全国新聞社 ふるさとブックフェア 各社の本紹介 その4
■ 静岡新聞社
 グルメ本シリーズ「ぐるぐる文庫」。
『鮨本』『B級ご当地グルメ本』『港食堂本』、各800円+税。
 他、富士山、家康、原発も。

■ 中部経済新聞社
 社名どおり経済界ノンフィクション中心。
『自動車王国前史』 1000円+税
『闘志乃王冠 石田退三伝』 1600円+税 など。

■ 中日新聞社 
『小出ランニングアカデミー』 1000円+税
『ドラゴンズファンブック』 1143円+税
 歴史、観光、経済、宇宙、建築、地震と幅広く出版。

(平野)
 白石一文『快挙』(新潮社、1300円+税)に【海】が登場、と言っても店名が1回出てるだけなんですけど。主人公の奥さんが須磨出身という設定。内容紹介は後日。