月曜朝礼新刊紹介

【文芸】 クマキ
■ 高階杞一(たかしなきいち) 『早く家(うち)へ帰りたい』 夏葉社 1800円+税
 詩人、1951年大阪生まれ、神戸在住。『キリンの洗濯』H氏賞、『いつか別れの日のために』三好達治賞。本書は1995年偕成社より刊行したものを復刊。
 94年9月、子息(4歳)を亡くした。おなかにいた時から腸に異常があったそう。彼を愛し、見守ってくれた方々に捧げ、「もう一度戻ってきて」と願った。20年近く、多くの人に読んでもらったことで、その願いは「最初から叶えられていた」と書く。
 「愛」
こどもがはじめて笑った日 
ぼくの暗がりに
ひとすじの強いひかりがさしこんだ
生まれてはじめて見るような
澄んであかるいひかり
その時
ぼくは手の中で

という形のないものが
はじめて〈愛〉という
形になった


そして
ぼくの〈愛〉はまだ病んでいる
病院の小さなベッドで
「苦しい」とか「痛い」とか
そんな簡単な言葉さえ
いまだ知らずに

【新書】 
■ 谷口忠大(ただひろ) ビブリオバトル 本を知り人を知る書評ゲーム』 文春新書 770円+税
 1978年京都生まれ、立命館大学理工学部知能情報学科准教授。
ビブリオバトル
 おすすめの1冊を持ち寄り、本の魅力を紹介し合う。熱いプレゼンとディスカッションで「読みたくなった本」を投票で選ぶ。
……僕たちは、買った本と、いったい、どこで出会っているのだろうか? どこで買ったかではない、どこで出会ったかだ。…… 

【芸能】 アカヘル
■ 木皿泉 『昨夜(ゆうべ)のカレー、明日(あした)のパン』 河出書房新社 1400円+税
 テツコ、ギフとお隣の〈ムムム〉さん(飛行機の客室乗務員をしていたが笑えなくなって辞めた)のことを話しているうちに、自分が近所で何と呼ばれているのか気になる。

……
「アンタはね、来た時からオヨメチャンって呼ばれてるな」
 テツコは自分がこの家の嫁だということを、思い出した。しかも、すでに九年も居続けている。
「テツコさん、嫁だったンだね」
 ギフまで、初めて気がついたというようにのんきに言った。
(夫・一樹が亡くなって7年、嫁と義父はまわりの人々とともにゆるゆると彼の死を受け入れていく)
 テツコは、ギフのためにソースを取ってやる。最後の焼売をドボドボのウスターソースに、ひたしひたししながら食べるのが好きなのを知っているからだ。
……

【海事】 ゴット 
■ 渡邊八郎 『華麗なるクルージング 川と運河の船旅』 海文堂出版 2400円+税
 日本語で相談や予約ができる世界の河と運河の船旅を紹介。
1.ライン〜ドナウ川系  2.オランダ〜ベルギー  3.ナイル・アフリカ  4.ロシアとウクライナ  5.黒海  6.長江  7.英国  8.フランスの他、ポルトガル・スペイン・イタリア  全78コース。
 著者は、1935年母親と神戸〜カルカッタ間を初クルーズして以来、海外クルーズ80回を超える。
 付録・DVD2枚。

■ 世界の艦船別冊 『CRUISE Traveller』 Vol.05 海人社 1143円+税 
特集 ALL ABOUT RIVER  CRUISES
●一生に一度は行きたい大河
●歴史や文化は川から生まれた
●世界のリバークルーズマップ 他
 付録DVD「極上のクルーズ紀行」(BS-TBSハイビジョン番組)。 

◇ 海文堂のブックフェア
■ 全国新聞社ふるさとブックフェア  4.22〜5.31  1F人文新刊コーナー 主催 全国新聞社出版協議会
北海道から沖縄まで全国の新聞社出版22社が参加。昨年に続いての開催です。地域に根差した、それぞれの地域ならではの出版物をご覧ください。
(平野)